🦆マガモ4:マガモの見分け方と生態 ― 冬の池に映る緑の頭のカモ

マガモシリーズ

― 冬の池に光る、緑の冠 ―

冷たい朝の水面に、緑の光がゆらめく。
マガモは日本の冬の池を象徴する鳥。
その姿は古くから絵や詩に描かれ、人と共に季節を彩ってきた。
ここでは、マガモの見分け方・生態・分布・鳴き声までを、図鑑形式で詳しく紹介する。


🌾目次


🌱 基礎情報 ― マガモという鳥

分類: カモ科マガモ属(Anas platyrhynchos)
全長: 約59cm 翼開長: 約90cm
分布: 北半球の広域に生息。日本では冬鳥(北海道では一部留鳥)。
特徴: オスは緑の頭と白い首輪、メスは褐色の模様。
食性: 水草・種子・昆虫などを水面で採餌。
繁殖: 5〜7月、地上の草むらに巣を作る。
鳴き声: 「グエッ」「グワッ」(主にメス)。
識別ポイント: 緑頭・白頸・黒尾・紫翼鏡。

マガモは「潜らないカモ(dabbling duck)」の代表種であり、 日本で最も観察しやすい冬鳥の一つ。世界各地に分布し、アヒルの原種としても知られている。


🌿 特徴と識別ポイント ― 緑の頭と紫の翼鏡

オスは緑の頭と白い首輪、灰色の体、黒い尾羽、黄色いくちばしが特徴。
メスは褐色のまだら模様で、くちばしは黒とオレンジの混色。
羽の一部にある「翼鏡(よくきょう)」は金属光沢を帯びた紫色で、飛翔時に光る。
オスの緑色は構造色で、光の角度によって青や紫に変化する。
換羽期(エクリプス)ではオスも地味な羽色になり、識別が難しくなる。

✅ 見分けのポイント:
・くちばしが黄色く、頭部が金属的な緑色ならオス。
・全体が褐色で、翼鏡が光る個体はメス。
・ヒドリガモよりも大柄で首が太い。
・カルガモと違い、くちばしの先が黒ではない。


🔥 生態と行動 ― 潜らないカモの暮らし

マガモは潜水せず、水面で頭を下げて餌を取る「水面採餌ガモ」。
水草の根、種子、小魚、昆虫などをくちばしで濾(こ)し取る。
昼間は休息し、朝夕の薄明時に最も活発に採餌する。
また、ペアを作るのは冬の間で、春には北方の繁殖地へ移動する。
地上で眠るときは片足立ちで、顔を背中にうずめる独特の姿勢をとる。


🌊 渡りと分布 ― 日本にやってくる冬鳥

マガモはシベリアやロシア極東で繁殖し、秋になると日本へ南下する。
主な越冬地は本州以南の湖・川・池・水田。
都市公園でも見られ、渡来数は年によって変動する。
北海道では留鳥として一年中観察される個体群もある。
水面が凍らない環境を好み、風の弱い池や湿地を選んで滞在する。


💧 鳴き声とコミュニケーション

メスの鳴き声「グエッ」「グワッ」はよく通り、群れの連絡に使われる。
オスはやや静かで、口笛のような「フィッ」という短い声を出す。
鳴き声の強弱で仲間と合図を交わし、危険や求愛、餌場の共有を行う。
群れの中では声と羽音が重なり合い、まるで音の絆のように水面に響く。


🌙 詩的一行

冬の池に揺れる緑の光――それは風と水が交わす季節の挨拶。


🦆→ 次の記事へ(カルガモとは?親子で泳ぐ日本のカモの一年と生態)
🦆→ マガモシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました