🌰栗6:ヨーロッパグリ

クリシリーズ

― 西の森の兄弟 ―

地中海の風を受けて育つヨーロッパグリは、
人の暮らしと深く結びついた栗のもう一つの姿。
その実はパンの代わりとなり、
森と人を結ぶ糧として長い歴史を歩んできた。


📘基礎情報

  • 分類:ブナ科クリ属(Castanea)
  • 学名:Castanea sativa
  • 分布:南ヨーロッパ〜西アジア
  • 樹高:約15〜30m
  • 開花期:5〜7月
  • 結実期:9〜11月
  • 特徴:果実が大きく、渋皮が剥けやすい。食用・薪・木材として古代から利用される。

🌾目次


🌱 森と人 ― パンの木と呼ばれた樹

ヨーロッパグリは、古代から「パンの木」として知られていた。
粉にして焼き、保存食として冬を越す人々の主食だった。
その森は家畜の放牧地でもあり、栗の落果が生きる糧を支えた。
森を守ることが、そのまま暮らしを守ることだった。


🌿 文化 ― ヨーロッパの栗食文化

南仏のマロン菓子、イタリアのカスターニャ粉、
スペインの煮栗――大陸のあちこちに栗の文化が根づいている。
地域によって調理法も品種も異なり、
栗は単なる食材ではなく「土地の記憶」として受け継がれてきた。


🔥 日本とのつながり ― 品種の交わり

近代になると、ヨーロッパグリは日本にも導入され、
病害抵抗性や果実特性の研究に活かされた。
異なる大陸の栗が交わることで、
人は自然の多様性を再び学び直している。
栗は世界をめぐり、ひとつの森へ帰っていく。


🌙 詩的一行

遠い森の実りが、今も静かに息づいている。


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