■ 基礎情報
- 分類: 哺乳綱 ウシ目 クジラ亜目 ヒゲクジラ類
- 種名: シロナガスクジラ
- 学名: Balaenoptera musculus
- 体長: 約25〜30m(最大全長33m以上)
- 体重: 約100〜180トン
- 分布: 世界中の外洋。高緯度で採餌し、低緯度で繁殖
- 食性: オキアミ主体の濾過食(大量摂取型)
- 特徴: 地球最大の生物、低周波音の強力な通信、巨大な心臓(約180kg)
― シロナガスクジラは、この地球に存在したあらゆる生物の中で最大の体をもつ。
その大きさは体長30mにも達し、心臓は人間ほどの大きさ、血管は子どもが通れると言われるほど太い。
だが、この巨体を支えるのは小さなオキアミであり、海の循環と季節が生んだバランスの上で生きている ―
🪸目次
- 1. 大きさと体のしくみ ― 最大種の構造
- 2. 食べ方 ― “突進濾過”による大量摂取
- 3. 回遊と季節行動 ― 海をわたる長い旅
- 4. 声とコミュニケーション ― 地球規模の低周波
- 5. 個体数の現状 ― 過去の捕鯨からの回復途中
- 詩的一行
1. 大きさと体のしくみ ― 最大種の構造
シロナガスクジラは体のすべてが「巨大化」の方向に進化した。
- 体長30m級、体重180トン以上
- 心臓は約180kg・一回で数十リットル送る
- 喉のひだ(喉袋)が極めて大きく膨らむ構造
- 厚い脂肪層が深海の寒さから体を守る
外洋で長距離を移動するため、体は流線形で無駄がない。
2. 食べ方 ― “突進濾過”による大量摂取
シロナガスクジラはランジフィーディングの名手。
巨体でありながら加速し、大量の海水とオキアミを一気に飲み込む。
- 突進 → 海水ごと獲物を吸い込む
- 喉袋が膨張し、数トンの水を取り込む
- 口を閉じて水を押し出し、餌だけ残す
成体は1日に約1〜4トンのオキアミを食べる。
小さな生物が巨大な体を支えるという、海の食物連鎖の象徴でもある。
3. 回遊と季節行動 ― 海をわたる長い旅
シロナガスクジラは季節によって広い海を移動する。
- 夏: 南極海や北太平洋など高緯度の海で採餌
- 冬: 暖かい海で出産・子育て
特定の“海の道”を毎年通ることがわかっており、
海流・水温・餌の発生パターンを強く反映した行動である。
4. 声とコミュニケーション ― 地球規模の低周波
シロナガスクジラの声は、地球の海で最も遠くまで届く音のひとつ。
- 周波数は非常に低く、海底を伝わり数百km届く
- 繁殖期のオスが発する長い鳴き声が特徴
- 仲間との位置共有や求愛に利用される
海の透明度が低い環境では、音こそが最大の通信手段である。
5. 個体数の現状 ― 過去の捕鯨からの回復途中
- 20世紀の商業捕鯨で急減
- 現在は国際保護下で緩やかに回復中
- 音響汚染・船舶衝突など新たな問題も存在
巨体でありながら、とても脆い存在でもある。
🌙 詩的一行
静かな海を滑る青い影は、世界の広さと深さをゆっくりと映していく。
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