■ 基礎情報
- 分類: 哺乳綱 ウシ目 クジラ亜目 ヒゲクジラ類
- 代表種: シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ、コククジラ
- 学名: Mysticeti
- 体長: 約10〜30m
- 体重: 約20〜180トン
- 分布: 世界中の海(寒帯〜熱帯)を季節回遊
- 食性: オキアミ・小魚・プランクトンの濾過食
- 特徴: 歯を持たずヒゲ板で濾過、低周波の声、巨大化しやすい
― ヒゲクジラは、海の最大種たちを含むグループであり、口内に並ぶヒゲ板で海水を濾し取る独特の食事法を持つ。濾過食は短時間で大量のエネルギーを得るための、海に適応した高度なしくみである ―
🪸目次
- 1. ヒゲ板 ― 濾過食を支える構造
- 2. ランジフィーディング ― 巨体を動かす捕食戦略
- 3. 回遊と生活圏 ― 寒暖を往復する海の道
- 4. 声とコミュニケーション ― 海に響く低周波
- 5. ヒゲクジラ内の主な違い
- 詩的一行
1. ヒゲ板 ― 濾過食を支える構造
ヒゲクジラの口にはケラチン製のヒゲ板が並び、これが海水をこし取るフィルターとなる。
- 海水を吸い込む → ヒゲ板で濾す → 餌だけ取り込む
- オキアミや小魚を大量に摂取できる
- ヒゲ板の大きさ・本数は種ごとに異なる
2. ランジフィーディング ― 巨体を動かす捕食戦略
多くの大型ヒゲクジラが行う、迫力ある突進捕食法。
- 加速して突っ込む → 海水と餌を一気に吸い込む
- 喉のひだ(喉袋)が大きく膨らむ構造
- 口を閉じて水だけ排出、餌を確保
短時間で大量のエネルギーを得るための進化的戦略である。
3. 回遊と生活圏 ― 寒暖を往復する海の道
ヒゲクジラは季節によって大移動する。
- 夏: 高緯度の海で採餌(オキアミが豊富)
- 冬: 暖かい海で繁殖・出産
この回遊ルートは数千キロにおよび、海流・地形・水温を記憶していると考えられている。
4. 声とコミュニケーション ― 海に響く低周波
ヒゲクジラは低周波の声で遠距離通信を行う。
- 数十〜数百キロ届く長距離通信能力
- 求愛・群れの合図・位置の共有などに利用
- ザトウクジラは複雑な“歌”を持つ
深海は光が届かないため、音は彼らにとって最も重要な感覚である。
5. ヒゲクジラ内の主な違い
- シロナガスクジラ: 地球最大。主食はオキアミ。
- ナガスクジラ: 長く細身で高速移動が得意。
- ザトウクジラ: 泡の輪で餌を囲うバブルネット採餌。
- コククジラ: 海底を掘り返して底生生物を食べる。
🌙 詩的一行
大きな口に揺れるヒゲは、海の記憶を静かにすくい上げる。
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