🌳コナラ25:ウバメガシ ― 岩を抱く木 ―

コナラシリーズ

― 火と海を見つめる常緑 ―


分類: ブナ科コナラ属(Quercus
学名: Quercus phillyraeoides
分布: 本州南部〜四国・九州の沿岸部
樹高: 5〜15m
葉の特徴: 小さく厚い革質で、光沢をもつ常緑葉
果実: 翌年秋に熟す小型のドングリ
樹皮: 黒褐色で厚く細かく割れる
生育環境: 岩場・海岸・乾燥地
利用: 備長炭・防風林
備考: 火に強く、岩地でも根を張る生命力の象徴


🌿 外見

ウバメガシは、低い岩地や海風の吹く斜面にしっかりと根を張る。
葉は小さく、分厚く、艶をもつ。
乾いた風にも焼けつく日差しにも耐え、
黒い幹と濃い緑の葉が鋭い対比を見せる。
その姿は、まるで岩そのものが樹になったかのようだ。


🌳 生態

岩場や石灰岩地など、他の木が根づきにくい場所を好む。
強い日照と乾燥に耐えるため、
葉は硬く、蒸散を抑える構造をもつ。
根は岩の隙間を探して深く潜り、
わずかな水を逃さず吸い上げる。
海辺に群生することも多く、
潮風に耐える常緑林を形づくっている。


🔥 人との関わり

ウバメガシは「備長炭」の原木として知られる。
高密度の木質は火持ちがよく、
硬く締まった炭は音を立てずに燃える。
江戸時代から炭焼きの代表種として利用され、
その灰は陶芸や農にも使われた。

海と山の境で人に火を与え、
岩の上でも生き続ける――
ウバメガシは、耐える森の象徴でもある。


🌙 詩的一行

岩を抱き、風を受けて、それでも緑を絶やさない。


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