🌳コナラ22:カシワ ― 空を映す葉 ―

コナラシリーズ

― 北の風にゆれる樹 ―

分類: ブナ科コナラ属(Quercus)
学名: Quercus dentata
分布: 北海道〜九州の平地・海岸砂丘
樹高: 10〜20m
葉の特徴: 大きく波打ち、冬も枝に枯葉を残す
果実: 大型のドングリ(翌秋成熟)
樹皮: 灰褐色で比較的滑らか
生育環境: 日当たりの良い乾燥地・砂地
利用: 柏餅の葉・祭礼・植栽
備考: 落葉が遅く、縁起木として信仰される

広い空の下で、風を受けて立つ木がある。
葉は厚く、枝は真っすぐに伸び、
夏の光を受けて空の色を映す。
カシワは、北の平原に生きる堂々とした木だ。


🌿 外見

カシワは、大きく波打つ厚い葉をもつ落葉樹。
葉の先が二つに分かれたような形をしており、
枝先に集まってつく葉のかたまりはまるで扇のよう。
春には黄緑の若葉が輝き、
秋になると褐色に変わり、
冬のあいだも枝に枯葉を残す。

その姿はどこか凛としていて、
寒風の中でも誇り高く立っているように見える。


🌲 生態

寒冷地の平地や海岸砂丘など、
日当たりがよく乾いた土地に多く見られる。
根は深く、風や乾燥に強い。
落葉は遅く、春まで枝にとどまることが多い。
この性質は、冬の乾燥風から芽を守るための知恵。

ドングリは大きく、丸みを帯び、
風や動物によって運ばれていく。
広葉樹林の北限を支える、
まさに“空の森”の木といえる。


🪵 文化との関わり

「端午の節句」の“柏餅”に使われる葉は、この木のもの。
新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから、
**「家系が絶えない」**という縁起木とされてきた。
神事や祭礼にも多く用いられ、
日本人の暮らしの中で“守り木”として親しまれてきた。


🌙 詩的一行

風に鳴る葉音は、空の祈りのようだ。


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