🌳コナラ2:森のはじまり

コナラシリーズ

― 二次林が生まれるとき ―

森がいったん伐られたあと、静けさの中に新しい光が落ちる。
その光を合図に、草と芽と菌が動き出す。
森の再生は、沈黙のあとから始まる。


🌿 生まれ変わる森のしくみ

コナラの森は、人の手によって一度伐られた場所から始まる。
伐採された地面に太陽が差し、そこにまず草本やシダが生える。
それらが土を覆い、乾燥を防ぎ、微生物が再び活動を始める。
やがて、根の残った株から新芽が伸び、
わずか数年で若木が林をつくる。

この再生力は、コナラの強い萌芽性による。
切られても根から芽を吹き、
同じ幹から何度も森を再構築できる。
一本の木が終わるたび、
その根は次の森を準備している。


🍄 地下の共生

地表の再生よりも早く、
地中では菌のネットワークが動き出す。
コナラの根に寄生する菌根菌は、伐採後も土の中で生き続け、
新しい芽や他の植物とつながりをつくる。
菌糸は水と養分を運び、
植物たちはその見返りに光のエネルギーを分ける。

見えないところで、森はもう始まっている。
菌と根、微生物と虫――それらが
沈黙のなかで再びひとつの生態系を編み直す。


🌳 コナラが選ばれる理由

二次林の中心がコナラであるのは偶然ではない。
日光を好み、成長が早く、土を肥やす落葉を落とす。
その葉は虫を育て、虫は鳥を呼ぶ。
木が一本育てば、そこに生き物の層が生まれる。

人が炭を焼くために木を伐っても、
十年後にはまた森が戻る――
そんなサイクルが、日本の里山文化を支えてきた。
森は壊されるたびに、再び人とともに立ち上がる。


🌙 詩的一行

伐られても、森は光の方向を忘れない。


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