🌳コナラ18:コナラ― 森をひらく木 ―

コナラシリーズ

― 森のはじまりの木 ―

分類: ブナ科コナラ属
学名: Quercus serrata
分布: 本州・四国・九州
樹高: 15〜25m
葉の特徴: 楕円形で鋸歯があり、秋に黄葉して落葉
果実: ドングリ(翌年秋成熟)
樹皮: 灰褐色、浅い縦裂
生育環境: 日当たりのよい丘陵・里山の二次林
利用: 薪・炭・木工材
備考: 萌芽更新力が強く、人の暮らしに密接に関わる

日本の里山の多くは、コナラの木からできている。
その姿はどこにでもあるのに、
森の形を決めてきたのは、いつもこの木だった。


🌿 外見

コナラは、明るい落葉広葉樹。
樹皮は灰褐色で、浅い縦の裂け目が走る。
若い木はまっすぐに伸び、
老木になると幹が太くねじれ、苔をまとって風格を帯びる。
葉は楕円形で縁に細かい鋸歯があり、
春は淡い緑、夏は深緑、秋には黄金色に染まる。


🌳 生態

日光を好み、伐採後も根元から芽を吹く「萌芽再生力」が強い。
そのため、かつての日本では薪炭林として何度も伐られ、
それでも森を失わずに再生し続けてきた。
根は地中で菌と結びつき、
菌根菌の助けを借りて栄養を吸収する。
虫や鳥、哺乳類を含めた多くの生き物が、
コナラの森の生態系に依存している。


🔥 人との関わり

コナラの木は、人の暮らしとともに生きてきた。
薪や炭、木工材として使われ、
その灰は田畑を肥やした。
伐採と再生をくり返す「里山の循環」は、
コナラなしには成り立たなかった。

いま、放置された里山が増える中でも、
古いコナラ林は静かに立ち続け、
かつての人と森の記憶を守っている。


🌙 詩的一行

この木のまわりには、いつも人の時間が流れていた。


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