― 光が眠る時間 ―
夜の森は、見えないものが息づく世界。
月の光が葉をなぞり、風が静かに枝を揺らす。
そこには昼とは違う、深い秩序がある。
🌕 月と木々
月明かりの下で、コナラの幹は銀色に光る。
昼に見えなかった樹皮の模様が浮かび上がり、
枝の影が地面に揺れる。
その淡い光の中で、森は静かに呼吸をしている。
夜の森では、木々が光を受け取るわけではない。
月の明るさを、ただ透かす。
その透けた静けさの中に、
森のもうひとつの姿が現れる。
🦉 夜の住人たち
暗闇は、夜の命の時間だ。
フクロウの声が響き、コウモリが飛ぶ。
木の根元ではカエルが鳴き、
樹皮の陰で小さな虫たちが動き出す。
彼らにとって、光の少なさは恐れではない。
夜の静けさは、危険と安全が溶け合う空間。
コナラの幹はその舞台の中心で、
無言のまま見守っている。
🌌 森の眠り
夜の森は眠っているようで、
実は少しも止まっていない。
根は水を吸い上げ、
菌は枯れ葉をほどき、
風は湿った空気を入れ替える。
ただ、人の耳に届く音がなくなるだけ。
森は静かなまま動き続けている。
🌙 詩的一行
闇の中でこそ、森は本当の姿を見せる。
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