🦚キジ8:ハッカン ― 雪の白をまとう鳥 ―

キジシリーズ

― 雪の斜面に影が走る。白い羽が風にふれた一瞬だけ、冬の山に淡い色が灯る。ハッカンは“雪をまとう鳥”として、高山の静けさの中にひっそりと暮らしてきた ―

ハッカンは、日本の高山帯に生息するキジ科の鳥で、雪に溶け込む白い姿が特徴だ。姿を見られる機会は多くないが、雪山を歩く人々には古くから親しまれ、山岳地帯の象徴として語られてきた。ここでは、ハッカンの基礎情報と、その生き方を山の時間とともに紹介する。

📘 基礎情報

  • 分類:キジ目 キジ科 ライチョウ属
  • 和名:ハッカン(白雉)
  • 学名:Lagopus muta japonica
  • 体長:約35〜40cm
  • 分布:日本アルプス・北海道の高山帯
  • 生息地:亜高山帯〜高山帯、ハイマツ帯、岩場、雪田周辺
  • 食性:植物質中心(芽・葉・果実・高山植物)
  • 特徴:冬に白い羽、夏に保護色、雪に溶け込む性質

🦚目次

❄️ 1. 高山に生きる鳥 ― 厳しい環境を選んだ理由

ハッカンは、風が強く気温の低い高山帯を生活の中心とする。人の活動範囲が少ないため、自然のリズムに沿った暮らしを続けている。

  • 標高の高い山岳地帯に生息
  • 開けた岩場やハイマツ帯を好む
  • 厳しい環境だが捕食者が少ない利点もある

険しい条件の中で、独自の静かな生態を育んできた。

🤍 2. 白い羽の秘密 ― 冬の擬態と季節の変化

ハッカンが“雪の鳥”と呼ばれる理由は冬の羽色にある。雪に完全に溶け込む白い体は、外敵から身を守るための擬態だ。春から夏には褐色や灰色の保護色に変わり、岩場やハイマツ帯に馴染む。

  • 冬:雪の中で目立たない純白の羽
  • 夏:岩と草地に溶け込む茶色の羽
  • 季節で羽色を大きく変える数少ない鳥

羽そのものが、季節と共に生きる仕組みになっている。

🌿 3. 食べものと暮らし ― 高山植物とともに

ハッカンは植物質の餌を中心に食べ、季節によって食べる部位を変える。芽吹きの時期には新芽、夏は葉や花、秋は果実など、高山植物の移ろいに合わせて暮らす。

  • 新芽や若葉を好む
  • 果実・花・高山植物の種子も採食
  • 冬はハイマツの葉など限られた餌を利用

山の短い夏と長い冬に寄り添った食生活を送っている。

👣 4. 行動の特徴 ― 静けさと低い飛翔

ハッカンは警戒心が強いが、ヤマドリに比べると音が小さく動きも慎重だ。地上を歩くことが多く、飛翔は短距離に限られる。

  • 低く短い飛翔 → 長距離移動はほぼしない
  • 雪や岩陰に身を隠す行動
  • 足跡で存在に気づくことも多い

動きの静けさが、雪山の風景とよく重なる。

🌙 詩的一行

雪の白にとける影が、山の静けさをそっと深めていく。

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