― 田畑を渡る影 ―
広がる田畑の上を、静かに渡る黒い影。
風を裂くように飛び、畦道に降りては虫を探す。
ハシボソガラスは、街の喧騒を離れたもう一つのカラス。
その暮らしは、土地と季節に寄り添うように続いている。
- 分類:スズメ目カラス科カラス属
- 学名:Corvus corone
- 分布:日本全国、ユーラシア大陸の広範囲
- 体長:約45〜57cm
- 体重:約400〜800g
- 翼開長:約95〜115cm
- 食性:雑食(昆虫、穀物、果実、小動物、残飯など)
- 生態:田畑や農村地帯を中心に生活。単独または小群で行動し、地上採食が多い。
- 鳴き声:「ガアガア」と濁った声。ハシブトガラスより柔らかく、低め。
- 特徴:細くまっすぐなくちばし。ハシブトガラスよりスリムで、額がなだらか。
🌾目次
🌾 農地 ― 人と共にある環境
ハシボソガラスは、人の暮らしの近くで生きてきた。
田んぼを耕す人のあとを追い、虫をついばむ。
落穂や果実も食べるが、害虫を減らす存在でもある。
彼らの姿は、昔ながらの農村の風景の一部だ。
🪶 習性 ― 地上に生きる知恵
彼らは高いビルよりも、地面に近い世界を選ぶ。
低く飛び、畦道を歩きながら食を探す。
人との距離を保ちながらも、同じ土地を共有する。
その慎重さは、田の生き物たちと共に生きるための智慧だ。
🤝 共存 ― 土の上のパートナー
カラスが荒らすという印象の裏で、
彼らは小動物を捕らえ、農作物を守る面もある。
自然と人の間で揺れ動きながら、
ハシボソガラスは田畑の循環に組み込まれている。
その存在は、“共に生きる”という原点を思い出させる。
🌙 詩的一行
黒い羽が、土と風のあいだを渡っていく。
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