🐦カラス18：再生する黒

― 清掃者としての役割 ―

誰もいない公園に、黒い影が降りる。
落ち葉をめくり、風に転がる残り物を拾う。
人が去ったあとに現れ、世界を整えていく者。
カラスは、静かな清掃者だ。
汚れではなく、循環の一部としてそこにいる。

🌾目次

死骸を食べ、果実を運び、残滓を分解する。
カラスの仕事は、森の中でも街の中でも変わらない。
彼らは腐敗を恐れず、命の終わりを“次の始まり”へと繋ぐ。
それは汚れではなく、自然の循環そのものだ。
生と死のあいだに立ち、世界を回す黒い歯車。

ゴミを漁る姿は人に嫌われるが、彼らがいなければ街はもっと早く腐る。
道路に落ちた食べ物を拾い、死んだ小動物を片づける。
それは人間の社会が見ないふりをする“影の仕事”。
カラスは、無償で都市を清めている。

黒は終わりの色ではなく、はじまりの色。
夜があるから朝が来るように、
腐敗があるから命が育つ。
カラスの羽は、その循環の証。
黒という色が、世界をもう一度“生かす”色なのだ。

闇の中で、世界は再び息をする。