🐦カラス15:民話と信仰

カラスシリーズ

― 森の語り手たち ―

夜明け前、黒い影が村の上を横切る。
その声を聞くと、誰かが「不吉だ」とつぶやく。
けれど、もう一人は言う――「神の使いかもしれない」と。
カラスは、恐れと敬いの狭間で語られ続けてきた。
その物語は、人と森が共に暮らした時代の記憶でもある。


🌾目次


📜 民話 ― 恐れと祈りのあいだで

古い時代、カラスは“知らせを運ぶ鳥”と呼ばれた。
旅人の死を告げ、嵐の訪れを知らせ、
ときに神々の意志を伝える存在でもあった。
黒という色は闇を象徴するが、同時に「夜明けの前の色」。
それを恐れたのは、人が闇を見つめる勇気を失ったからだ。


🕊 信仰 ― 神の声を伝える鳥

日本では八咫烏のように「導きの象徴」として語られる一方で、
西洋では「死の使い」として恐れられてきた。
だがどちらも、“境界に立つ者”としての共通性を持つ。
この世とあの世、生と死、昼と夜――
カラスはそのあわいに立ち、言葉にならないものを伝えてきた。


🌾 伝承 ― 森の記憶を語り継ぐ

民話の中でカラスは、常に「観察者」として描かれる。
人の行いを見て、天に報告する者。
彼らの声は、森そのものの声であり、
自然が人に語りかける“もう一つの言葉”でもあった。
今も山里でカラスの鳴き声が響くとき、
それは森の記憶がふたたび語られている瞬間なのだ。


🌙 詩的一行

語り継ぐ声が、森を生かす。


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