🦀蟹3:潮の循環と命のはじまり

― 海は、生きている ―

🌊 潮の流れ

海は呼吸をしている。
満ちては引き、
寄せては返す。

そのたびに、砂は形を変え、
貝は裏返り、
海藻は光を受けて揺れる。

潮はただの水ではない。
それは、命そのものの拍動。

🪸 命のはじまり

潮が満ちる夜、
岩の影で小さな卵がかえる。
孵化した幼生は流れに乗り、
遠く沖へと運ばれていく。

海の子どもたちは、
潮の行く先を知らないまま、
ただその温度と光に包まれて漂う。

🔄 循環の中で

波が砕け、
潮が引き、
命はまた海底へと還る。

消えることと生まれることが
同じ円の上にあるのだと、
海は静かに教えてくれる。

そしてカニたちは、
その円の内側を、
歩きつづけている。

🪶 終わりに

潮が満ち、
命が動き、
また静けさが戻る。

それが、海の呼吸。
命のはじまりと終わりが、
ひとつの潮に溶け合っている。

次話:ズワイガニ ― 冬の深海に潜む王

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