― 甲羅に広がる扇のような模様が、岩の陰でそっと光を受ける。オウギガニは小型ながら存在感のあるカニで、装飾的な甲羅模様とじっと動かない擬態行動が特徴の“海の装飾家”だ ―
浅い岩礁帯で多く見られ、甲羅模様は個体ごとに変化がある。派手さだけでなく、隠れるための機能も兼ね備えている。ここではオウギガニの特徴、生態、人との関わりを図鑑的に整理する。
📘 基礎情報
- 分類:節足動物門 甲殻亜門 十脚目 オウギガニ科
- 学名:Atergatis floridus
- 分布:本州中部〜九州・南西諸島・台湾など暖海域
- 生息環境:浅い岩礁帯・潮間帯・サンゴ礁
- 大きさ:甲幅4〜7cm前後の小型
- 食性:貝類・小型甲殻類・藻類・有機物
- 特徴:扇状の甲羅模様・鮮やかな体色・擬態行動
🦀目次
1. 扇状模様の甲羅 ― オウギガニの特徴
オウギガニの最大の特徴は、扇が広がるような甲羅模様だ。
- 赤・白・茶などの色が扇状に広がる模様
- 甲羅は丸みがあり、模様がよく映える形
- 鋏脚や脚にも細かな模様が入ることがある
- 体色は岩場の環境に合わせ個体差が大きい
鮮やかさと擬態性を両立する“装飾的な甲羅”が魅力だ。
2. 岩礁帯での暮らしと擬態
オウギガニは岩礁のすき間や潮間帯に多く、周囲に溶け込むように生活する。
- 岩の割れ目や陰にじっと隠れる習性
- 日中は動きが少なく、夜に活動が増える
- 模様と色が岩肌に似ており、擬態効果が高い
- 海藻や岩のすき間に挟まっていることも多い
動かずに隠れる“静かな生き方”が、岩礁帯での生存に役立っている。
3. 食性と行動 ― 小さな捕食者として
オウギガニは小型ながら捕食性があり、さまざまな餌を食べる。
- 小型の貝類や甲殻類をつまんで食べる
- 藻類や有機物を食べる雑食的な面も
- 夜間は積極的に餌を求めて動く
- 危険を感じると素早く岩陰に隠れる
小型ながら“岩場の小さな捕食者”として生態系に関わっている。
4. 人との関わり ― 観察や写真で人気のカニ
オウギガニはその模様の美しさから、観察者・写真家に人気が高い。
- 岩場での観察の定番種
- 鮮やかな模様が“映えるカニ”としてSNSで人気
- 潮間帯の生き物観察会などでも紹介される
- 一部地域では食用になることもあるが珍しい
美しい模様から“海の装飾家”とも呼ばれる、独特の存在感を持つカニだ。
🌙 詩的一行
岩の陰でそっと光る模様が、潮の揺れに合わせて静かに息づいている。
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