🦀蟹22:イシガニ ― 岩礁を駆ける青き爪

カニ(海)シリーズ

― 海の青さがそのまま染み込んだような鋭い爪を持ち、岩礁と砂地の境界を素早く走り抜ける。イシガニは国内でもっとも身近なワタリガニの一つで、青い鋏が強い印象を残す活発なカニだ ―

浅い海の岩礁帯から砂地、護岸近くまで幅広く現れ、泳ぎも速い。攻撃性が強く、魚を捕らえる姿も見られる。ここではイシガニの特徴、生態、暮らしを図鑑的に整理する。

📘 基礎情報

  • 分類:節足動物門 甲殻亜門 十脚目 ワタリガニ科
  • 学名:Charybdis japonica
  • 分布:本州〜九州・南西諸島・朝鮮半島沿岸
  • 生息環境:浅海の岩礁・砂地・湾内・護岸帯
  • 大きさ:甲幅6〜10cm前後
  • 食性:小魚・甲殻類・二枚貝・多毛類など
  • 特徴:青い鋏脚・素早い動き・攻撃的な性質

🦀目次

1. 目を引く青い鋏 ― イシガニの特徴

イシガニはとにかく“爪の青さ”が際立つカニだ。

  • 鋏脚(ハサミ)が鮮やかな青〜青紫色
  • 甲羅は平たく、鋸歯状の縁が特徴的
  • 泳ぐための脚(遊泳脚)が発達している
  • 体色は茶色〜赤褐色で環境に合わせて変化

青い爪は視覚的にも強く、イシガニと他種を区別する大きな手がかりになる。

2. 岩礁と砂地での暮らし

イシガニは浅い海域に広く分布し、岩礁と砂地のどちらにも現れる。

  • 岩と砂の境界帯を頻繁に移動
  • 隠れる場所が多い岩礁で待ち伏せする姿も
  • 湾内・護岸でも見られる都市沿岸適応型
  • 夜間は積極的に餌を探す

海辺の多様な環境を使い分ける“機動力のあるカニ”だ。

3. 素早さと攻撃性 ― 小型捕食者として

イシガニは動きが速く、攻撃性も強い。

  • 小魚を鋏でつかんで捕食することもある
  • 他の甲殻類を追う姿も観察される
  • 遊泳脚を使って短距離を素早く泳ぐ
  • 縄張り争いでは威嚇姿勢をとる

浅海の小型捕食者としての役割を持つ、意外と力強いカニだ。

4. 人との関わり ― 釣り・市場・海辺の観察

イシガニは人との距離が近いカニで、さまざまな場所で目にする。

  • 海釣りで高確率で釣れる定番種
  • 干潟や岩場での観察対象として人気
  • 市場でも見かけることがあり、食材として扱われる地域も
  • 青い爪がSNSや写真で“映えるカニ”として注目

海辺の観察者から釣り人まで、幅広く知られた身近なカニだ。

🌙 詩的一行

青い爪が海光を受け、浅い潮のすき間をすばやく走り抜けていく。

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