基礎情報
- 分類:甲殻類・十脚目・短尾下目
- 和名:サワガニ
- 学名:Geothelphusa dehaani
- 分布:日本(本州・四国・九州など)
- 主な環境:沢・小川・湧水域、湿った林床の縁
- 体サイズ:甲幅 数cm程度(地域差あり)
- 食性:雑食(落ち葉・水生昆虫・小動物の死骸など)
- 活動:主に夜行性。湿度が高い日に活発
- 繁殖:淡水で繁殖(幼生が海へ出ない)
- 見つけ方:夕方〜夜、石の下や落ち葉のたまりを静かに探す
- 注意:生息地の撹乱に弱い。観察後は石を元に戻す
沢の流れが細く分かれる場所。石が重なり、落ち葉が溜まり、水と土の境がゆるくつながる。昼は動きがなく、夜になると気配が増える。サワガニは、そうした澄んだ水辺を選ぶようにして暮らしている。
サワガニの生活域は、はっきり区切れるものではない。速い流れの中でも、完全な陸上でもない。水際の湿った土、苔の付いた石の下、落ち葉の陰――それらが連続する場所に、居場所がつくられる。
清流は安定しているようで、実際には変化が多い。雨で水位が上がり、夏は温度が変わり、落ち葉が流れ込む。それでもサワガニは、その変化を避けず、条件として受け入れてきた。澄んだ水と隠れ場所があれば、暮らしは続く。
水辺で過ごし、必要に応じて水の外へ出る。前へ進むより、横へ位置をずらすようにして、石の下を替え、場所を移す。その動きは、清流という環境に合わせた、定住しすぎない生き方だ。
🦀目次
- 🌿 1. 清流とはどんな場所か ― 澄んだ水が条件になる ―
- 🪨 2. 石と落ち葉の構造 ― サワガニの居場所 ―
- 🌙 3. 夜に動く理由 ― 静かな採食と移動 ―
- 🏞️ 4. 環境の変化と弱さ ― 清流に依存するということ ―
- 🌙 詩的一行
🌿 1. 清流とはどんな場所か ― 澄んだ水が条件になる ―
サワガニが暮らすのは、水が澄み、流れが極端でない場所だ。濁りが少なく、底の石が見え、急激な増減が起こりにくい。そうした条件がそろって、初めて居場所になる。
- 水質:濁りが少なく、酸素量が保たれる。
- 流れ:速すぎず、溜まりが点在する。
- 温度:年間の変動が比較的小さい。
- 継続性:短期間で環境が変わらない。
清流であること自体が、サワガニにとっての前提条件だ。
🪨 2. 石と落ち葉の構造 ― サワガニの居場所 ―
沢の中でも、サワガニが選ぶのは石や落ち葉が重なる場所だ。直線的な護岸や、均一な河床では姿を見せない。
- 石:隙間ができ、身を隠せる。
- 落ち葉:湿度を保ち、餌が集まる。
- 影:直射日光を避けられる。
- 連続性:移動先が点在する。
こうした構造が残る沢ほど、サワガニは定着しやすい。
🌙 3. 夜に動く理由 ― 静かな採食と移動 ―
サワガニの活動は、主に夜に集中する。昼は石の下で動かず、暗くなると水際に出て、ゆっくりと移動する。
- 時間帯:日没後から夜半。
- 行動:短距離を横に移動。
- 採食:落ち葉や小さな生き物。
- 回避:刺激があればすぐに隠れる。
目立たない動きが、清流での生存を支えている。
🏞️ 4. 環境の変化と弱さ ― 清流に依存するということ ―
サワガニは、環境の変化に強い生き物ではない。水路の改変や濁りの増加があると、姿を消しやすい。
- 改変:護岸で隠れ場所が失われる。
- 濁り:長く続くと定着できない。
- 分断:移動経路が途切れる。
- 反応:条件が崩れると消える。
サワガニが見られる沢は、清流の条件がまだ保たれている場所でもある。
🌙 詩的一行
石の下の赤は、澄んだ水が続いてきた時間を示している。
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