雨が降ると、森の中のものが川へ向かって動き出す。落ち葉、枝、土、見えないほど細かな有機物。それらは流れに乗り、やがて水辺に溜まる。淡水カニは、その境目で動いている。
川と森は、別々の環境に見えて、実際には切り離されていない。淡水カニは、そのつながりを体で引き受ける存在だ。水と陸のあいだを行き来しながら、流れ込んだものを処理していく。
🦀 目次
- 🌿 1. 森から川へ ― 有機物の移動 ―
- 🦀 2. 分解者としての役割 ― 食べて砕く ―
- 🔁 3. 循環の中の位置 ― 上流と下流をつなぐ ―
- ⚠️ 4. 失われるとき ― つながりの断絶 ―
- 🌙 詩的一行
🌿 1. 森から川へ ― 有機物の移動 ―
森で生まれた有機物は、やがて水辺へ集まる。落ち葉は分解され、細かく砕かれ、流れに乗る。
淡水カニが多く見られるのは、そうした物質が集まりやすい場所だ。倒木の周り、流れの緩む場所、落ち葉が溜まる岸辺。そこは、森と川の影響が重なる地点でもある。
🦀 2. 分解者としての役割 ― 食べて砕く ―
淡水カニは、落ち葉や枯れた植物、小さな生き物の死骸を食べる。食べることで、有機物はさらに細かく分解される。
その過程で、物質は水中に戻り、微生物や他の水生生物に利用されやすい形へ変わる。淡水カニは、分解の途中を担う存在だ。
🔁 3. 循環の中の位置 ― 上流と下流をつなぐ ―
淡水カニは、森側で食べたものを、水中へ持ち込むことがある。逆に、水中のものを陸側で消費することもある。
この移動は小さく見えるが、長い時間をかけて積み重なる。上流と下流、陸と水。そのあいだで、物質の流れが途切れにくくなる。
⚠️ 4. 失われるとき ― つながりの断絶 ―
水路が整備され、落ち葉が取り除かれると、淡水カニの餌は減る。護岸によって隠れ場所が失われると、移動も難しくなる。
淡水カニがいなくなると、分解は別の経路に任される。だが、その速度や分布は変わる。川と森のあいだの調整役が、ひとつ失われることになる。
🌙 詩的一行
落ち葉が水へ戻る途中に、横歩きの時間がある。
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