🐢カメ6:環境と分布 ― 水辺・海・陸に広がる暮らしの地図 ―

カメシリーズ

― カメは、世界のほぼあらゆる環境に姿を見せる。冷たい川の源流から湿地の浅瀬、乾燥した草原、熱帯のサンゴ礁、そして外洋を回遊する海ガメまで。その姿はゆっくりとしていても、環境への適応力は驚くほど高い。

この章では、淡水・海・陸という三つの軸からカメの分布と環境適応を整理する。どのような場所が暮らしの中心になり、どのような条件がカメを支えているのか――その地図を静かに見つめる章だ。

🐢目次

🌿 1. 淡水環境 ― 浅瀬・湿地・流れの緩い川

もっとも多くのカメが暮らすのが淡水域だ。水温と日照が安定し、隠れる場所が多い環境は、雑食性のカメにとって理想的な住処となる。

  • 浅瀬:日光を受けやすく、藻類・昆虫が豊富
  • 流れの緩い川:外敵が少なく、潜りやすい
  • 湿地・池:季節変化が小さく、冬の避難場所にもなる

クサガメやイシガメなど日本の在来種は、こうした環境を歩くように移動しながら生活している。

🌊 2. 海の環境 ― 大陸沿岸から外洋へ広がるルート

海ガメは海の広い範囲を使い、沿岸 → 大陸棚 → 外洋を行き来する。

  • 沿岸部:日光が届き、海藻や甲殻類が豊富
  • 大陸棚:餌場として利用、ゆるやかな海流に乗る
  • 外洋:長距離の移動ルート。水温と流れが道しるべになる

海ガメは水温が少し下がるだけで行動範囲を大きく変えるため、 海流・気温・海水温が生活の中心を左右する。

☀️ 3. 陸上環境 ― 乾燥・草原・森林での暮らし

リクガメは陸上生活に特化し、日光と乾燥に強い体をもつ。

  • 乾燥地帯:サバンナや半砂漠に多い
  • 草原:植物食に適した環境
  • 森林縁辺部:隠れ場所が多く、湿度が安定

歩行が中心の生活で、強い四肢と頑丈な甲羅が大きな役割を果たす。 水分は植物から摂り、乾燥した環境でも長く生きられるよう適応している。

🗺 4. 世界の分布 ― 温帯・熱帯に集中する理由

カメの分布は、温帯〜熱帯に集中している。これは変温動物であるカメが、環境の熱を利用して暮らすためだ。

  • 熱帯:水温が安定し、食物が豊富。多様性が最も高い
  • 温帯:四季があるが、水辺や日照があれば生息可能
  • 寒冷地:限られた種が散発的に生息(冬眠で対応)

世界には約350種以上のカメが知られており、その多くは アジア・北米・南米・アフリカ熱帯域に分布している。 海ガメは大洋の多くに広がるが、産卵地は温暖な海岸に限られる。

🌙 詩的一行

浅瀬の光も、外洋の青も、乾いた草原の影も――カメは静かにその間を歩き続ける。

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