🐸 カエル19：水辺の循環 ― カエルが支える生態系 ―

― 水辺に小さな影が増えると、そこには必ず他の生きものたちの動きも重なってくる。オタマジャクシが藻を食べて水を澄ませ、成体が夜に虫をとらえ、やがてその姿が鳥やヘビの糧となる。カエルは、水辺の“流れ”の中に静かに組み込まれた存在であり、その往復が生態系の循環を支えている。

🐸目次

オタマジャクシは藻や微生物を食べ、水の富栄養化を抑える役割を果たす。大量の有機物を分解し、水の透明度を保つことで、他の水生生物が暮らしやすい環境を整えている。

小さな体ながら、水の循環にとって欠かせない働きをしている。

成体のカエルは夜に活動し、昆虫を中心に多くの小動物を捕食する。これにより、夜の虫の密度がほどよく保たれ、農地や水辺のバランスが安定する。

カエルの活動は目立たないが、確かな“夜の支え”になっている。

カエルは捕食者であると同時に、多くの生きものの餌にもなる。鳥、ヘビ、哺乳類、水生昆虫――多様な生物がカエルに依存し、その存在が食物網の重要な結び目になっている。

カエルの動きには、生態系の状態がそのまま映り込む。

湿地や田んぼは、カエルにとっても他の生き物にとっても大切な場所だ。多様な生物の場として機能し、人の営みと自然がゆるやかに重なる地域では、カエルの声が季節の欠片のように響く。

こうした風景が失われつつある今、カエルのいる場所は“残すべき環境”として改めて見直されている。

小さな影の往復が、水辺の季節を静かにめぐらせていた。