― 雨の前にふと聞こえてくる澄んだ声。葉の上でじっと空気の湿りを感じ取り、雨粒が落ちてくると跳びはねる小さな緑の影。アマガエル類は、日本の雨季とともに暮らす象徴的なカエルで、身軽な体と吸盤のついた指先で草木の上を自在に歩く。
🐸目次
📘 基礎情報
- 分類: アマガエル科
- 代表種: ニホンアマガエル(Hyla japonica)/シュレーゲルアオガエル(Rhacophorus schlegelii) など
- 体長: 約2〜4cm(小型)
- 食性: 小型昆虫・クモ・小さな節足動物
- 繁殖期: 4〜7月(種により差あり)
- 特徴: 体色変化・吸盤のついた指先・高い鳴き声・樹上生活への適応
🐸 1. アマガエル類という存在
アマガエル類は小型で身軽なカエルのグループで、緑色の体と高い鳴き声がよく知られている。指先の吸盤で植物の茎や葉にしっかりとつかまり、地表だけでなく草木の上でも生活できる点が大きな特徴だ。
特にニホンアマガエルは身近な存在で、田んぼや庭の植え込みで普通に見られる。雨の気配に敏感で、天気の変わり目に鳴き始める習性は、季節の風物詩にもなっている。
🪰 2. 生態と行動
アマガエル類は湿度に敏感で、雨の日や曇りの日に活動が増す。主に小型の昆虫を捕食し、動くものを舌で瞬時にとらえる。繁殖期には池や田んぼの周辺に集まり、夜間にオスがよく鳴く。
- 体色変化で環境にとけ込む(緑〜褐色)
- 吸盤で植物表面にしっかりつかまる
- 雨の前に鳴くことが多い
🌿 3. 環境と分布
日本全国に広く分布し、平地から山地まで多様な環境に適応する。水辺に近い植生のある土地を好み、人家周辺の植え込みや庭木にも普通に現れる。
- 田んぼ・草地・低木林・庭など幅広い
- 湿度の高い場所を好む
- 都市部でも見られる代表的なカエル
シュレーゲルアオガエルのように、地下に産卵室を作る種もあり、同じアマガエル類でも生態は多彩だ。
🔎 4. 観察のポイント
観察しやすいのは雨の前後。葉の上で止まっている姿は小さいが目立ち、鳴き声で位置を推測しやすい。夜間の田んぼや湿地では、複数のオスが一斉に鳴き合う光景に出会うこともある。
- 雨の直前に鳴き始める“天気予報”のような行動
- 葉の裏や草の先端に止まっていることが多い
- 色が変わるので背景と比較して探すと見つけやすい
🌙 詩的一行
湿りをまとう小さな声が、葉の先で静かに集まりはじめていた。
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