カブトムシは、
森があれば生きられる昆虫ではない。
必要としてきたのは、
人の手が入り続けた森だった。
雑木林、落ち葉、伐採、更新。
その繰り返しの中で、
カブトムシは居場所を保ってきた。
だがその前提が、
いま、静かに崩れている。
🪲 目次
🏞 1. 里山という生息基盤
日本のカブトムシは、
原生林の奥深くではなく、
里山に多く生息してきた。
クヌギやコナラを中心とした雑木林。
落ち葉が積もり、
腐植質が豊富な土壌。
これらは、
自然のままに成立したのではない。
薪炭利用や落ち葉掻きといった、
人の営みの結果として維持された環境だ。
🪓 2. 管理の停止がもたらした変化
里山利用が減ると、
一見、自然が回復したように見える。
だが実際には、
林床は暗くなり、
落ち葉は分解されにくくなる。
常緑樹やササが広がり、
クヌギ・コナラ林は更新されない。
結果として、
樹液が出る木も、
幼虫が育つ土壌も、
同時に失われていく。
📉 3. 見えにくい減少のかたち
カブトムシは、
突然いなくなるわけではない。
「今年は少ない」
「場所が変わった」
そうした変化が、
何年も積み重なる。
夜に出歩く昆虫であるため、
減少は気づかれにくい。
だが、
分布の縮小と個体数の低下は、
確実に進んでいる。
🔁 4. 里山とカブトムシのこれから
カブトムシを守ることは、
単に一種を残すことではない。
里山という、
人と自然が重なってきた場所を、
どう扱うかという問いでもある。
伐ること。
使うこと。
更新すること。
それらを完全にやめた場所では、
カブトムシは生きにくい。
関わり方を選び直すことが、
結果として、
彼らの居場所を残すことにつながる。
🌙 詩的一行
カブトムシは、里山が動かなくなったことを、いち早く知っていた。
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