― 一日のうちで終わる花の時間 ―
畑の中で、かぼちゃの花は朝の光とともに開く。
夜のあいだに蕾がふくらみ、
日が昇ると同時に花弁がやわらかくほどける。
その命は短い。昼を過ぎるころにはしぼみ、夕方には閉じる。
たった数時間のあいだに、受粉と命の引き継ぎが行われる。
🌼 雄花と雌花 ― 役割のちがい
雄花は細い茎の先に咲き、花の奥には花粉を出す葯(やく)が並ぶ。
雌花は株の根元近くに咲き、花の下に小さな実のふくらみ(子房)を持つ。
見た目はほとんど同じだが、
実を結ぶのは雌花だけである。
朝露を浴びた花は、陽が強くなる前のわずかな時間だけ、
昆虫たちを招き入れる。
🐝 受粉のしくみ ― 虫たちの仕事
花の匂いと色に誘われて、蜂やハナアブがやってくる。
雄花の中で花粉を脚につけ、そのまま雌花へと移る。
花粉が雌花の柱頭につくと、受粉が始まり、
その瞬間から実の成長が動き出す。
虫が訪れない日には実が育たず、
人が筆や指で花粉を運ぶこともある。
かぼちゃの畑は、人と虫が一緒に支える世界だ。
☀️ 花の時間 ― 朝と昼のあいだ
花が開くのは午前7時前後。
朝の涼しい空気の中で香りが最も強く、
蜂の羽音が畑全体に響く。
昼が近づくと花弁が薄れて垂れ、
午後にはしぼみ、翌朝には落ちている。
短いけれど、その時間の中で
次の季節をつくる種が生まれている。
🌙 詩的一行
花は一日で枯れるけれど、季節はそのたびに続いていく。
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