🎃かぼちゃ2:蔓と葉 ― 地を這う光

カボチャシリーズ

― 動かないものの動き ―

畑の中で、かぼちゃの蔓はゆっくり進んでいる。
一日に数ミリほど。
風の向きや地面の凹凸を読み取りながら、
節ごとに根を下ろして地をつかむ。
その動きは目には見えないが、
数日経つと確かに景色が変わる。


🌱 蔓の構造 ― 根を下ろす節

蔓の長さはおよそ2〜3メートル。
節ごとに根を出し、土に触れた場所から水を吸い上げる。
この根が、株全体の支えとなる。
蔓の先には巻きひげがあり、
支柱や草に触れるとすぐに巻きつく。
その反応は数分で始まり、一方向へ回転し続ける。
動かないように見えて、かぼちゃは絶えず位置を調整している。

🌿 葉の役割 ― 光と水の受け皿

葉は大きく、手のひらのような形をしている。
表面にはうぶ毛があり、水滴が転がりやすい。
葉の裏には気孔が並び、呼吸と蒸散をくり返す。
夏の強い日差しのもとで、
葉の角度は時間とともに変化する。
午前の光を受け、午後には少し下を向く。
一枚一枚が小さな時計のように動き、
畑全体がゆるやかに呼吸している。

🔥 陰と温度 ― 畑の中の微気候

葉が作る陰は、土の温度を一定に保つ。
真夏の直射を防ぎ、乾燥をやわらげる。
陰の下で実が育ち、
緑から橙へと変わっていく。
人はその陰を見つけ、実のある場所を知る。
光ではなく、陰がかぼちゃを守っている。

🌙 詩的一行

地を這う光の下で、夏は静かに進む。


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