― 味の奥にあるもの ―
甘いという感覚は、どこからやって来るのだろう。
舌の上だけでなく、
光の残る記憶の中にもそれはある。
南瓜の甘みは、畑の太陽でもあり、
囲炉裏の火でもあり、
人が「生きのびた冬」の記憶そのものだ。
🍯 味覚としての記憶
人は、苦さよりも甘さを覚えやすい。
南瓜の甘みは、糖だけでなく“安心”の味。
寒さと飢えの中で、
その一口が命をつないだ時代があった。
だからこの味は、単なる嗜好ではなく、
生き延びた証の記憶として受け継がれている。
🔥 火と甘みの関係
火を通すと、果肉の中の糖が変化する。
香ばしさとほのかな焦げが、
甘さの奥に深みを与える。
それは「熱」と「記憶」の結びつき。
火は単なる調理の道具ではなく、
人が時間を感じるための媒介だった。
🌾 畑から器へ ― 変わらない循環
南瓜は種から生まれ、
夏の陽を受け、秋に実り、冬に食べられる。
その循環は、
人の一年とまるで同じリズムを刻む。
味わうことは、
自分の時間を確かめる行為でもある。
🌙 詩的一行
甘みは、季節を超えて残る記憶のかたち。
コメント