🦠 カビ5:カビの時間感覚 ― 爆発的増殖の正体 ―

カビシリーズ

カビは、ある日突然あらわれたように見える。
昨日まで何もなかった場所に、色や模様が広がっている。
その変化は、ときに「一気に増えた」と感じられる。

だが、カビにとってそれは突然ではない。
時間の使い方が、人とは違うだけだ。

見えない期間が長く、見える瞬間が短い。
この落差が、カビの増殖を「爆発的」に感じさせている。

カビの時間感覚を知ることは、
増える速さではなく、待つ長さを理解することでもある。

🦠 目次

⏳ 1. 見えない時間 ― すでに始まっている段階

カビの生活は、目に見えない段階から始まる。
胞子が落ち、発芽し、菌糸が伸びる。

この間、変化は小さく、
人の感覚では「何も起きていない」ように見える。

  • 段階:胞子の定着
  • 状態:微細な菌糸の伸長
  • 可視性:ほぼ見えない

だが、時間は確実に進んでいる。
見えない時間こそが、最も長い

🌱 2. 増殖の引き金 ― 条件がそろう瞬間

湿度、温度、栄養。
これらの条件がそろうと、菌糸の成長速度は変わる。

  • 湿度:活動を支える水分
  • 温度:代謝が進む範囲
  • 栄養:分解できる基質

条件が整った瞬間、
それまで静かだった菌糸は、一気に広がる段階に入る。

これは突然の変化ではない。
準備が終わった結果として起きている。

📈 3. 「爆発的」に見える理由

カビの増殖が「爆発的」に見えるのは、
人の視点が、結果だけを見ているからだ。

菌糸は、分岐を繰り返す。
一本が二本に、二本が四本に。
この増え方は、面積を急速に広げる。

  • 成長様式:分岐的
  • 広がり:指数的に見える
  • 印象:短時間で一気に増えたように感じる

実際には、時間は連続している。
見える段階に入っただけなのだ。

🕰️ 4. 止まる時間 ― 休眠という戦略

条件が悪くなると、カビは活動を弱める。
伸びることをやめ、次の機会を待つ。

  • 状態:成長の停止
  • 形:胞子や菌糸の維持
  • 目的:長期的な存続

休眠は、時間を止めることではない。
ゆっくりと流すことだ。

カビは、急がない。
条件が戻るまで、時間そのものを抱え込む。

🫧 詩的一行

カビは、増える速さより、待つ長さで生きている。

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