多くの生き物は、 好きか嫌いかを問われる前に、 ただ「いるもの」として扱われる。
だがカビは違う。 見つけた瞬間に、 排除すべきものとして認識されることが多い。
この反応は、本能だけでは説明できない。 そこには、 長い時間をかけて形成された 文化としての嫌悪がある。
🦠 目次
😖 1. 「不快」という感情の正体
カビを見たとき、 多くの人は理屈より先に 「嫌だ」と感じる。
この感情は、 危険を察知するための 生物的反応でもある。
だが同時に、 学習された反応でもある。
「これは食べてはいけない」 「これは近づくべきでない」 そう教えられ、 繰り返し確認されてきた結果、 感情として定着した。
🕰️ 2. 保存と腐敗 ― 歴史が生んだ警戒
冷蔵庫も防腐剤もなかった時代、 食料の劣化は 命に直結する問題だった。
異臭、変色、 表面に現れる異物。
その中で、 目に見える変化の象徴として、 カビは強く記憶された。
危険そのものではなく、 危険の兆候として。
この経験の積み重ねが、 警戒を文化へと変えていった。
🏛️ 3. 衛生という思想の登場
近代以降、 「清潔であること」は 社会的価値となった。
見えない微生物の存在が知られ、 管理と除去が 正しさとして共有される。
その中でカビは、 管理の失敗を示す存在として 位置づけられた。
嫌悪は、 感情であると同時に、 秩序を保つための記号になった。
👁️ 4. 見える存在が背負う役割
細菌やウイルスは、 目に見えない。
だがカビは、 色や形として現れる。
その「見える」という性質が、 不安や不快を 一身に引き受けてきた。
カビは、 すべての微生物の代理として、 嫌われる役を担わされてきた とも言える。
🫧 詩的一行
カビは、危険そのものより先に、危険を思い出させる存在になった。
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