🐗イノシシ9:猪突猛進

イノシシシリーズ

― 力と祈りの象徴 ―

前だけを見て進む獣。
森の中で障害を恐れず突き進む姿は、
人々に「勇気」と「無垢」を重ねさせた。
イノシシは、力の象徴であり、祈りの対象でもあった。


🌾目次


🌱 言葉 ― 「猪突猛進」という心

「猪突猛進」。
それは無謀というより、ためらいのない意志を意味する。
イノシシは迷わない。立ち止まらず、障害を押しのけて進む。
この言葉には、人が忘れた原始のまっすぐさが宿っている。
慎重さを求める社会で、無心に進む力は時に美徳として語られる。


🌿 干支 ― 十二支の亥として

亥年は「命の種が土の中で育つ年」とされる。
勢いの象徴であると同時に、
エネルギーを内に蓄える静けさの象徴でもある。
日本各地の神社では亥を守護とする祈りが残り、
火除け・家内安全の象徴としても親しまれてきた。
亥の月・亥の日に湯を沸かす「亥の子祭り」もその一つ。
子孫繁栄と無病息災を願う風習である。


🔥 信仰 ― 山の神と勇気の象徴

山の神の使いとしてのイノシシは、
豊穣と再生の循環を司る存在でもあった。
荒ぶる力は破壊だけでなく、
新しい命を生むための原動力と考えられていた。
寺社では守護獣として石像が置かれ、
絵馬や祭りの中にその姿が見られる。
祈りと力がひとつになった動物――それがイノシシだった。


🌙 詩的一行

まっすぐ進むこと、それが祈りの形になる。


🐗→ 次の記事へ(イノシシ10:里へ下りる夜 ― 人と獣のあいだ ―)
🐗→ イノシシシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました