🐗イノシシ12：未来への記憶

― 森と人のこれから ―

朝の霧が晴れ、森が光を取り戻す。
足跡は消えても、そこにあった動きの気配が残る。
イノシシは森の奥で生き、人はその外で暮らす。
だが、両者の境界はこれからもっと曖昧になっていく。

🌾目次

温暖化、豪雨、土地の変化。
森のバランスは確実に変わりつつある。
それに合わせてイノシシの生態も変化していく。
高地への移動、食の変化、繁殖時期のずれ。
森が変わるたび、彼らもまた変わる。
その適応の早さこそ、生命の柔軟さの証だ。

私たちは長く「管理」という言葉で自然と向き合ってきた。
しかし、これから必要なのは「共に考える」視点だ。
獣害を防ぐだけでなく、環境を整えることで共に生きる。
森を守ることが、人の暮らしを守ることにつながる。
その気づきが、未来の風景を作っていく。

イノシシが掘り返した土の跡。
それは森の呼吸であり、変化の記録だ。
人が写真を撮り、言葉を残すこともまた記憶のひとつ。
自然と人が交わって生まれる記録は、
未来の誰かが森を思い出すための地図になる。
せいかつの中で生きる図鑑――それがこの記録の意味だ。

森の記憶は、いまを生きる私たちの中にある。