― 小さな粒の中に隠れた地図 ―
手のひらに乗る白い粒。その内部には、米が稲として芽を出すための
緻密な構造が静かに折りたたまれている。
胚乳、胚、糊粉層――見えない層のひとつひとつが役割を持ち、
生命の始まりを支えている。
白米という完成形の奥に、どんな世界があるのかをのぞいてみよう。
🌾目次
- 🍚 米の基本構造 ― 玄米から白米へ
- 🌱 胚 ― 芽のもとになる部分
- 🥣 胚乳 ― 白米の主体をつくる“蓄えの層”
- 🧪 糊粉層 ― 栄養の要となる薄い層
- 🟤 果皮・種皮 ― 見えなくても存在する外側の膜
- 🌙 詩的一行
🍚 米の基本構造 ― 玄米から白米へ
普段見ている白米は、実は玄米を削った状態だ。
玄米には複数の層が存在し、それぞれに役割がある。
玄米を外側から順に見ると、次のように構造が分かれる。
・果皮・種皮 …… 外側の薄い膜
・糊粉層 …… 栄養を多く含む層
・胚乳 …… 白米の主体部分
・胚 …… 発芽の中心
精米によって糊粉層や果皮が取り除かれ、白米が残る。
つまり、白米は胚乳が主体の“完成形”だと言える。
🌱 胚 ― 芽のもとになる部分
胚(はい)は、米が新しい稲へと成長するための“生命の中心”だ。
玄米の端に小さく位置し、発芽に必要な構造がすべて詰まっている。
胚が持つ主な構造は次の通り。
・幼芽 …… のちの葉・茎になる部分
・幼根 …… のちの根になる部分
・胚盤 …… 胚乳から栄養を吸収する器官
玄米が「種」として機能するのは、この胚が生きているから。
精米して白米になると、多くの胚は取り除かれる。
🥣 胚乳 ― 白米の主体をつくる“蓄えの層”
白米の中心で、もっとも大きな部分を占めるのが胚乳(はいにゅう)。
ここにはデンプンが豊富に蓄えられ、発芽のエネルギー源となる。
胚乳の主体は、アミロースとアミロペクチンというデンプン。
この割合が粘りや食感を決めている。
・アミロースが多い → パラッとした食感
・アミロペクチンが多い → 粘りが強くなる
白米の食味は、ここで決まると言っても過言ではない。
🧪 糊粉層 ― 栄養の要となる薄い層
玄米の外側、果皮のすぐ内側にある薄い層が糊粉層(こふんそう)。
わずかな厚さしかないが、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれている。
精米するとこの層はほとんど削られてしまうため、
玄米が栄養価に優れる理由は主にここにある。
🟤 果皮・種皮 ― 見えなくても存在する外側の膜
玄米の最も外側にあるのが、果皮と種皮。
これらは籾殻が外れた後に残る薄い膜で、米粒そのものの保護層だ。
厚さはわずかだが、 ・乾燥や湿度変化
・細菌やカビ から内部を守る、重要な防壁でもある。
この層も精米でほぼ取り除かれるため、白米は非常に傷つきやすく、
鮮度や保存方法が品質に影響しやすい。
🌙 詩的一行
白い粒の奥に、小さな未来が静かに折りたたまれている。
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