― 緑がかった粒は、山里の風とともに残された ―
緑米(みどりまい)は、玄米が深い緑色を帯びる古代米のひとつ。 外観は控えめだが、もっちりとした強い粘りと、ほのかな香りが特徴で、 日本の山間部に“在来の稲”として静かに残されてきた系統である。
黒米・赤米ほど広く知られていないが、 その粒には古い稲作の姿がはっきりと残っている。
📘 緑米の基礎情報
分類: イネ(Oryza sativa)の一系統/古代米
色素: クロロフィル系(緑の天然色素)
起源: アジア在来系/日本の山地に伝わる古い稲
日本での歴史: 東北・山陰・九州の山間部に在来種として残存
栄養: たんぱく質が多く、食物繊維・ミネラルも豊富
特徴: 強いもち性・香り・粒の緑色・コクのある味わい
主な品種: 緑糯(みどりもち)/在来緑米系統
用途: 雑穀ブレンド、餅、赤飯風、郷土食、行事食
🌾目次
- 💚 緑米とは ― 山里に残る在来の米
- 🧬 緑の色素 ― クロロフィルの名残
- 🥣 特徴と味わい ― 強いもち性と香り
- 🏞 地域文化 ― 山間部に伝わる“緑の稲”
- 🌾 品種と栽培 ― 保存されてきた在来の形
- 🌙 詩的一行
💚 緑米とは ― 山里に残る在来の米
緑米は、古代米の中でも特に“在来性”の強い稲として知られる。 赤米・黒米のように広く分布した系統ではなく、 日本各地の山間部で、細々と受け継がれてきた。
・玄米が深い緑色 ・強いもち性 ・香りがよく、雑穀ブレンドでも存在感がある ・収量が少なく、ほとんどがローカル栽培
“知る人ぞ知る古代米”と言われることも多く、 一般流通が少ないため希少性が高い。
🧬 緑の色素 ― クロロフィルの名残
緑米の色は、植物の葉の色として有名なクロロフィルによるもの。 玄米の表皮に葉緑素の一部が残り、深い緑色を帯びて見える。
クロロフィルの特徴:
- 熱に弱い → 炊飯後は淡い緑~薄茶色へ
- 抗酸化力がある
- やさしい香りの元になる
黒米・赤米のような強い色素ではなく、 自然の“葉の記憶”を残した柔らかな色合いだ。
🥣 特徴と味わい ― 強いもち性と香り
緑米の最大の特徴は、もち性の強さにある。
・噛むほどに粘り ・玄米でも硬くなりにくい ・香りがよく食べやすい ・おこわ・餅・和菓子にも向く
赤米・黒米に比べ、 “毎日でも食べやすい古代米” と言われる理由がここにある。
🏞 地域文化 ― 山間部に伝わる“緑の稲”
緑米は、赤米ほど神事色は強くない。 しかし、山間部の小さな集落で「在来の米」として細く長く守られてきた。
・山里の行事食としての緑米 ・餅米文化の一部としての継承 ・赤・黒より希少で“隠れた古代米”と呼ばれる地域もある
農家ごとに系統が分かれていることも多く、 在来種を守る活動の象徴となっている。
🌾 品種と栽培 ― 保存されてきた在来の形
緑米は品種名ではなく「系統名」。 そのため地域ごとに特徴が大きく異なる。
代表的な系統:
- 緑糯(みどりもち)
- 東北〜九州の在来緑米系統
- 棚田地域に残る古系統
草丈が高く、倒伏しやすい点は赤米・黒米と同じ。 しかし栽培の手間は比較的少なく、雑草に強い系統も多い。
🌙 詩的一行
緑の粒は、山の風のように静かでやさしい。
📚 イネ古代米・もち米 外伝ナビ
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- ❤️ 赤米とは ― 日本の源流に残る“最初の稲” ―
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