ヒツジは、丈夫な動物ではない。
正確に言えば、放っておいて強い動物ではない。
草を食べ、群れで暮らし、人に守られることで成立してきたヒツジは、
環境や管理が少し崩れるだけで、体調を崩しやすい。
その弱さは欠点であると同時に、
ヒツジがどのような条件のもとで生きてきたかを示す、重要な手がかりでもある。
🐑 目次
⚠️ 1. ヒツジが弱い理由 ― 体と行動の前提
ヒツジの弱さは、偶然ではない。
反芻、群れ行動、被毛――これらはすべて、一定の環境が保たれることを前提に成立している。
危険があれば戦わず、逃げる。
体調が悪くても、群れの中で目立たずにやり過ごす。
この性質は、症状の発見を遅らせやすい。
ヒツジは、自分で助けを求めない動物だ。
だからこそ、異変に気づく目が不可欠になる。
🦠 2. 寄生虫と感染症 ― 草地に潜むリスク
ヒツジの健康管理で、最も重要なのが寄生虫対策だ。
草を食べる生活は、常に寄生虫の再侵入と隣り合わせになる。
- 消化管内寄生虫(線虫など)
- 外部寄生虫(ダニ・シラミ)
- 湿潤環境で増える細菌・真菌
寄生虫は、体力を静かに奪う。
食欲低下、貧血、成長不良など、症状は目立ちにくい。
放牧地の管理や定期的な検査がなければ、
群れ全体に影響が広がることもある。
🐾 3. 蹄と皮膚のトラブル
ヒツジの蹄は、自然に摩耗することを前提にしている。
そのため、湿った地面や舎飼い環境では、トラブルが起きやすい。
- 蹄病:歩行困難・採食量低下
- 皮膚炎:被毛の密度と湿気が原因
- 外傷:毛に隠れて発見が遅れる
被毛は、守りであると同時に、
異常を隠してしまう要因にもなる。
定期的な観察と手入れがなければ、
問題は表に出たときにはすでに深刻になっている。
🌡️ 4. 日本の気候との相性
日本の高温多湿な夏は、ヒツジにとって厳しい。
厚い被毛、湿気、寄生虫の増加が重なり、
体力を急激に消耗させる。
この気候条件が、
日本でヒツジ飼育が広く定着しなかった理由の一つだ。
冷涼で乾いた地域では比較的安定するが、
それでも人の管理を欠かすことはできない。
ヒツジは、環境を自力で乗り切る動物ではない。
支えられることを前提に生きる家畜なのだ。
🌙 詩的一行
ヒツジの弱さは、守られる前提で形づくられてきた。
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