🕊️ハト7:アオバト ― 海水を飲む森の旅人 ―

ハトシリーズ
  • 分類:ハト目・ハト科・アオバト属
  • 学名:Treron sieboldii
  • 分布:本州・四国・九州・東アジアの森林
  • 体長:33〜35cm
  • 体重:200〜250g
  • 食性:木の実・果実・若芽・ドングリ
  • 特徴:緑色の羽/海水を飲む習性/森と海を往復する

― 深い森を歩いていると、風の色が変わるように鮮やかな羽が横切ることがある。アオバトの登場だ。全身を包む緑の羽は、木々の影にとけ込み、近くにいても簡単には見つからない。だがその存在は、森の空気を一瞬だけやわらかく揺らす。

アオバトは「森の鳥」でありながら、海岸へ旅をする不思議な習性を持つ。森の奥でドングリを拾い、海へ向かい、波打ち際で海水を飲む。その行動は古くから知られ、一部の海岸では夏の風物詩として親しまれてきた。

🕊️目次

🌲 1. 緑の羽の意味 ― 森に溶け込む保護色

アオバトの緑色の羽は、ただ美しいだけでなく“身を守る道具”として進化したものだ。光を受ける角度で緑の濃淡が変わり、樹葉の影に同化する。

  • 保護色としての緑:捕食者から見つかりにくい
  • 腹側は黄色:陽の光の反射を抑える
  • 翼の模様:樹皮や葉の影と馴染む色合い

森の鳥としてのアオバトを象徴する色だ。

🌊 2. 海水を飲む理由 ― ミネラル補給という戦略

アオバトの最大の特徴が「海水を飲む」行動だ。日本各地の海岸で、波打ち際に群れで降り立つ姿が観察される。

  • ナトリウム補給:植物中心の食性では不足しがち
  • 集団で行う行動:危険を減らすための戦略
  • 飲み方は独特:波の合間を見て一気に吸い上げる

森と海をつなぐ行動は、アオバトの生存戦略のひとつといえる。

🍂 3. 食性と季節の移動 ― ドングリを求める生活

アオバトは果実食を中心とした生活を送り、季節とともに森の中を移動する。

  • 基本は木の実:ムクノキ、エノキ、ドングリなど
  • 季節移動:実りの多い森へ渡るように移動
  • 群れで行動:餌場の情報を共有し合う

海へ向かうのも、こうした季節のリズムの一部だ。

👀 4. 見つけにくい鳥 ― 高い警戒心と静かな行動

アオバトは非常に警戒心が強く、人影に気づくとすぐに樹冠へ逃げる。

  • 高い感受性:音や動きに敏感
  • 群れでの警戒:仲間の反応を素早く共有
  • 見つけにくい行動:枝の影にとどまり続ける

だからこそ、姿を見られた瞬間が特別な体験になる。

🌙 詩的一行

森の緑をまとった翼が、海のきらめきへそっと溶けていった。

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