🦐 エビ(海)5:生活史 ― 卵・ゾエア・ミシス・成体という変態 ―

海底を歩くエビの姿から、その始まりを想像するのは難しい。だが、エビは最初から今の形で生まれてくるわけではない。

卵からかえった直後、エビはまったく別の姿で海を漂う。泳ぎ、流され、食べ、脱皮しながら、段階的に形を変えていく。

この変化の連なりは、エビが多様な環境を生き抜くために選んできた方法でもある。

ここでは、エビの一生を、順を追って見ていく。

🦐 目次

🥚 1. 卵 ― 海に放たれるはじまり

多くの海のエビは、繁殖期になると卵を海中に放つ。種によっては、雌が腹部に卵を抱え、ふ化まで守るものもいる。

  • 産卵:海中または腹部で保持
  • 数:数千〜数十万
  • 特徴:小さく軽い

卵は潮流に乗り、広い範囲へと運ばれる。この段階で、多くが捕食されるが、それを前提とした数が生まれる。

量で生き残りを確保する。これがエビの最初の戦略だ。

🌊 2. ゾエア幼生 ― 漂う生活

卵からかえったエビは、「ゾエア幼生」と呼ばれる姿になる。

  • 形:頭部が大きい
  • 生活:浮遊性
  • 移動:潮流に依存

ゾエア幼生は、海中を漂いながらプランクトンなどを食べて成長する。この時期は、自分で行き先を選ぶことができない。

流されること自体が、分布を広げる役割を果たしている。

🔄 3. ミシス幼生 ― エビに近づく姿

ゾエア幼生は、脱皮を繰り返し、「ミシス幼生」へと変化する。

  • 変化:脚が発達
  • 動き:自力で泳げる
  • 段階:移行期

ミシス幼生になると、体はエビに近い形になる。漂うだけでなく、ある程度の移動が可能になる。

この段階で、浅海や底に近づいていく種も多い。

🦐 4. 成体 ― 海底に戻る

ミシス幼生を経て、エビは成体の姿へと移行する。

  • 生活:底生中心
  • 行動:歩行・隠れる
  • 役割:捕食・分解

海底での生活が始まると、エビはこれまでとは異なる役割を担うようになる。餌を探し、他の生き物と関係を持ちながら生きる。

漂う時代を経て、場所を持つ。それがエビの一生の流れだ。

🌙 詩的一行

流されてきた先で、ようやく底に立つ。

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