まだ形になりきらない体が、水の中を漂っている。
それは完成された生き物ではない。
けれど、確かに「始まり」の姿だ。
多くの動物は、生まれてすぐに
底を歩いたり、泳ぎ回ったりはしない。
仔魚や幼生として、まず浮かぶ。
この短い浮遊の時間が、
その後の分布や数、
ひいては生態系の形までを左右している。
🧾 基礎情報
- 和名:仔魚・幼生
- 英名:Larvae / Fish larvae
- 学名:(分類群ごとに異なる)
- 分類:魚類・軟体動物・棘皮動物などの初期段階
- 区分:動物プランクトン(発生段階)
- 分布:全球(海洋・淡水)
- 生息環境:表層〜中層、沿岸・外洋
- サイズ:数mm以下が多い
- 食性:卵黄・植物プランクトン・微小動物
- 増え方:大量産卵による個体数確保
- 移動:浮遊・弱い遊泳
- 天敵:他の動物プランクトン、仔魚同士
- 観察のヒント:沿岸の表層採集、春〜夏に多い
※本シリーズは、動物プランクトンの中心をなす甲殻類を主に扱うが、仔魚や幼生など、成体では別の分類群に属する動物も、浮遊生活を送る段階として含めて扱う。
🦐 目次
🔬 1. 「段階」としての動物プランクトン
仔魚や幼生は、
生涯プランクトンとして生きるわけではない。
それでも、その一時期は、
完全に動物プランクトンとして振る舞う。
分類ではなく、時間。
ここでは「何者か」よりも、
「いつ、どう生きているか」が重要になる。
🐟 2. 魚の仔魚という不安定な存在
魚の仔魚は、
泳ぐ力も弱く、
捕食から身を守る術もほとんど持たない。
- 特徴:未発達な感覚器
- 依存:餌の量とタイミング
- 結果:生存率は極めて低い
それでも魚は、
大量の卵を産むことで、
この不安定さを乗り越えてきた。
🐚 3. 貝・ウニの幼生が漂う理由
貝類やウニの幼生は、
成体とはまったく異なる姿をしている。
- 形態:繊毛を持つ浮遊型
- 目的:分散と定着先の探索
- 時間:数日〜数週間
一度漂うことで、
親と同じ場所に縛られない。
これが、分布を広げる仕組みになっている。
⚖️ 4. 浮かぶ時間が残すもの
仔魚・幼生の多くは、
途中で命を落とす。
だが、その存在が無駄になることはない。
- 役割:捕食者の餌
- 効果:次世代の選別
- 結果:分布と個体数の調整
浮かぶ時間は、
ただの未完成ではない。
生態系に組み込まれた、
重要な過程である。
🌙 詩的一行
始まりは、流れの中に置かれている。
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