顕微鏡をのぞくと、必ずと言っていいほど現れる影がある。
跳ねるように動き、止まり、また消える。
水域のどこにでもいて、しかし名前を呼ばれることは少ない。
カイアシ類は、
海と淡水を問わず、動物プランクトンの中心をなす存在だ。
数の多さ、分布の広さ、役割の大きさ。
そのどれを取っても、他の群を圧倒している。
小さな体で、水域の底を支える。
それが、カイアシ類という生き物である。
🧾 基礎情報
- 和名:カイアシ類
- 英名:Copepods
- 学名:Copepoda
- 分類:節足動物門 甲殻亜門 カイアシ綱
- 区分:動物プランクトン(生活様式)
- 分布:全球(海洋・淡水)
- 生息環境:表層〜深層、沿岸〜外洋、湖沼・河川
- サイズ:体長0.5〜2mm前後
- 食性:植物プランクトン、微小動物、雑食
- 増え方:卵生/世代時間が短い
- 移動:跳躍運動、日周鉛直移動
- 天敵:仔魚、小型魚、クラゲ
- 観察のヒント:プランクトンネット採集、顕微鏡観察
※本シリーズは、動物プランクトンの中心をなす甲殻類を主に扱うが、輪形動物や幼生など甲殻類以外の動物プランクトンも生活史の一部として含めて扱う。
🦐 目次
🔬 1. カイアシ類とは何か
カイアシ類は、
世界中の水域に分布する微小な甲殻類である。
海洋動物プランクトンの中では、
個体数・種数ともに最大規模を誇る。
海水を一杯すくえば、
そこには必ずカイアシ類が含まれている。
それほどまでに、
この存在は水域に深く溶け込んでいる。
🦐 2. 体の特徴と動き
カイアシ類の体は、
頭部・胸部・腹部に分かれ、
長い触角を持つ。
- 特徴:細長い体型
- 感覚:触角で水の振動を感知
- 移動:連続的ではなく跳躍的
この跳ねるような動きは、
捕食者から逃れるためでもあり、
餌に素早く反応するためでもある。
🌊 3. 食べる・食べられる位置
カイアシ類は、
植物プランクトンを食べ、
魚類や大型無脊椎動物に食べられる。
- 餌:珪藻・渦鞭毛藻など
- 捕食者:仔魚・小型魚
- 役割:エネルギーの中継点
この位置にいることで、
光から生まれたエネルギーは、
高次の生物へと確実に渡されていく。
⚖️ 4. なぜこれほど多いのか
カイアシ類がここまで繁栄した理由は、
ひとつではない。
- 短い世代:環境変化への即応
- 多様な食性:条件に応じた切り替え
- 広い分布:水域を選ばない
特別に強いわけでも、
目立つわけでもない。
それでも数を保ち続ける設計が、
この小さな体に詰め込まれている。
🌙 詩的一行
名を知られなくても、世界はこの体で回っている。
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