🌱 ダイズ2:ダイズの専門基礎 ― 分類・起源・進化・根粒菌 ―

ダイズシリーズ

大豆は、ただの作物ではない。
その背景には、野生種からの進化、栽培化の方向性、
そして土と共生するための精密な仕組みがある。


🕊️ 目次


📚 ダイズ属の分類 ― マメ科のどこに位置するのか

ダイズは、植物分類上では次のように整理される:

マメ科(Fabaceae)
└ マメ亜科(Faboideae)
 └ ダイズ属(Glycine)


このダイズ属には、
私たちが食べている栽培ダイズ(Glycine max)と、
野に生きるツルマメ(Glycine soja)が含まれる。

ふたつは“ほぼ同じ種”ともいえるほど近縁だが、
生活のしかた、形、実の大きさには明確な違いがある。
この「近さ」と「違い」が、大豆研究の根っこになっている。


🌱 起源と進化 ― ツルマメから栽培種へ

大豆は、数千年前の東アジアで、
野生のツルマメから選ばれて生まれた。
小さく硬い粒をつける野生型の中から、
ほんの少し大粒で落ちにくい株を、
人が繰り返し選んできた結果が「大豆」だ。

遺伝子解析でも、ツルマメと栽培ダイズは極めて近く、
大豆の“原風景”がツルマメの姿にそのまま残っている。


🧬 進化の方向性 ― “野生” と “栽培” の違い

野生のツルマメと栽培大豆の違いは、
人がどんな性質を求めたかがそのまま現れている。

・つる性 → 立つ性質へ
・小粒 → 大粒へ
・莢のはじけやすさ → はじけにくさへ
・少収量 → 多収量へ


特に、莢が自然にはじける性質(裂莢性)は、
野生植物にとっては種を広げるための大切な仕組みだが、
人にとっては収穫の損失になる。
そのため、栽培化の過程で「はじけにくい株」が選ばれてきた。

こうした“人が選んだ形”が積み重なって、
現在の私たちが知る「大豆」の姿になった。


🟤 根粒菌と窒素固定 ― ダイズが土と結ぶ関係

ダイズの根には、白く丸い根粒ができる。
この中には根粒菌がすみつき、
土中の窒素を植物が使える形に変えてくれる。

この仕組みを窒素固定と呼ぶ。
大豆が肥料の少ない土地でも育つのは、
この共生関係のおかげだ。

根粒菌は、植物に栄養を渡す代わりに、
植物から糖や生きるための環境をもらう。
その“交換”が成り立っている限り、
大豆は土とともに自分を支えることができる。


🌙 詩的一行

野の気配と人の選んだ形が、ひと粒の中に静かに息づいている。


▶ 次の話へ:ダイズ3 ― ツルマメ(野生種)

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