🐖ブタ9:バークシャー種 ― 「黒豚」の源流 ―

ブタシリーズ

― 夕日が低く差し込む放牧地で、つやのある黒い体をしたブタが静かに歩き出す。黒い毛並みに光が走り、顔や四肢の白い斑(ポイントカラー)が柔らかい表情をつくっている。重心の低い体と引き締まった筋肉は、どこか気品を感じさせる。この姿こそ、世界で広く「黒豚の代表」として知られるバークシャー種だ。

バークシャー種は、イギリス原産の歴史ある黒豚で、風味豊かな肉質と引き締まった体つきから、日本でも鹿児島黒豚などの“黒豚ブランド”の源流とされている。本章では、バークシャー種の外見・肉質・性質・ブランド豚との関係を整理しながら、その魅力に触れていく。

■ バークシャー種 基礎情報

  • 分類:哺乳綱/偶蹄目/イノシシ科/ブタ(家畜)
  • 原産:イギリス(バークシャー地方)
  • 体重:成獣オス:約250〜330kg、成獣メス:約200〜280kg
  • 体色:黒色で、顔・四肢・尾先などに白いポイントカラー
  • 耳:やや前方に垂れた中型の耳
  • 特徴:肉の締まりが良い・脂の甘さ・風味の強さ
  • 代表的ブランド:鹿児島黒豚、イギリス伝統バークシャー

🐖目次

🐗 1. バークシャーとは ― 歴史ある「黒豚」の代表

バークシャー種は、イギリスのバークシャー地方で古くから飼われてきた黒豚で、19世紀にはすでに名声を得ていた歴史ある品種だ。

  • 長い歴史:イギリスで古くから肉豚として重宝されてきた
  • 日本との関係:明治期に日本へ導入され、のちの黒豚改良につながる
  • 世界的評価:“最も品質の良い豚肉のひとつ”と評されることもある

バークシャーは、ただの黒い豚ではなく、肉質の評価から世界的に知られる伝統品種だ。

🦴 2. 体の特徴 ― 黒い体と白いポイントカラー

バークシャー種の見た目は非常に特徴的で、一目で「黒豚」とわかる。

  • 黒い体色:全身が黒色で、光を受けると深い艶が出る
  • 白いポイントカラー:四肢・鼻先・尾先などに白が入る
  • 中型の体格:筋肉の締まりが良い中型〜やや小型の体型
  • 垂れ耳:表情を柔らかく見せる特徴的な耳

この外見が、ブランド豚の象徴としての「黒豚イメージ」をつくる大きな要素になっている。

🥩 3. 肉質の魅力 ― 旨み・脂の甘さ・締まりのバランス

バークシャー種が高く評価される最大の理由は、やはり肉質にある。

  • 赤身のうま味:きめ細かく、うま味が濃い
  • 脂の甘さ:脂肪の質が良く、口どけがやわらかい
  • 締まりの良い肉:ほどよい弾力があり、調理しても味が落ちにくい

特に鹿児島黒豚などのブランド肉は、このバークシャーの肉質が土台になっている。

🏷️ 4. ブランド豚との関係 ― 鹿児島黒豚の源流

日本の鹿児島黒豚は、ほぼ例外なくバークシャー種に由来している。

  • 黒豚ブランドの源流:鹿児島黒豚の99%以上がバークシャー系統
  • 肉質の伝承:脂の甘さ・締まりなど、バークシャーの特徴が色濃い
  • 地域適応:温暖な日本の気候にもよく適応した

つまり日本の“黒豚文化”は、バークシャー種なくして語れないと言える。

🌙 詩的一行

黒い背を夕日がそっと照らし、静けさのなかに深いぬくもりがひとすじ残った。

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