アサリは、目に見える餌を追いかけない。水の中に含まれる、ごく小さなものを取り込みながら生きている。
砂の中に潜り、殻を閉じたまま、水だけを通す。その流れの中で、アサリは必要な栄養を受け取る。
食べるという行為は、同時に水を通すことでもある。アサリの食性は、干潟の環境そのものと深く結びついている。
🦪 目次
💧 1. 濾過摂食という食べ方
アサリは、水中に含まれる微細な粒子を濾し取って食べる。これを濾過摂食という。
- 方法:水を吸い込み、餌を選別
- 器官:えら
- 特徴:自ら探しに行かない
入水管から取り込まれた水は、えらを通過する。その過程で、栄養となる粒子が捕えられる。
🦠 2. 何を食べているのか
アサリの主な餌は、肉眼ではほとんど見えない存在だ。
- 植物プランクトン
- 動物プランクトンの幼生
- 有機物の微粒子
これらは水中に常に漂っている。アサリは、それを逃さず受け取ることで、安定した栄養源を確保している。
🌊 3. 水とともに生きる
アサリの食事は、水の状態に大きく左右される。水が動かなければ、餌も運ばれてこない。
- 条件:水の流れ
- 影響:潮汐・波
- 結果:餌の量が変わる
潮の満ち引きは、単なる環境変化ではない。アサリにとっては、食事のリズムそのものでもある。
🔁 4. 食べることが環境を変える
アサリが水を通すことで、水中の粒子は減少する。その結果、水が澄みやすくなる。
- 作用:水質の改善
- 役割:干潟の調整役
- 影響:他の生き物にも及ぶ
アサリは意図して環境を整えているわけではない。だが、食べるという行為が、干潟全体の状態に影響を与えている。
🌙 詩的一行
食べることが、水を澄ませていく。
🦪← 前の記事へ(アサリ5:生活史)
🦪→ 次の記事へ(アサリ7:行動)
🦪→ アサリシリーズ一覧へ
コメント