アサリは、未来を語るための象徴ではない。
減った、守らなければならない、再生が必要だ。 そうした言葉は確かに現実を表しているが、それだけでは、この貝の姿を言い切れない。
アサリは、これまでも環境の変化の中で生きてきた。 人の手が入った干潟で、人の暮らしのそばで、増えたり減ったりしながら続いてきた存在だ。
🦪 目次
🌊 1. 変わり続ける環境の中で
干潟は、固定された場所ではない。
潮の流れが変わり、川の流入が変わり、人の利用の仕方が変わる。 それに合わせて、アサリの棲める場所も、少しずつ移り変わってきた。
- 自然干潟から管理された干潟へ
- 放置から手入れへ
- 大量採取から制限付き利用へ
アサリは、安定した環境を必要とする一方で、変化の中に身を置くことで生き延びてきた。
👣 2. 人との距離が決める生き方
アサリは、人から離れすぎても、近づきすぎても生きられない。
まったく手を入れなければ、底質は変わり、稚貝は定着しにくくなる。 一方で、過剰に利用すれば、資源はすぐに枯渇する。
- 掘る
- 休ませる
- 整える
この繰り返しの中で、アサリは人の暮らしと重なって存在してきた。
🔁 3. 続くということ
「これからどうなるか」を断定することはできない。
だが、「続けようとしてきたかどうか」は、これまでの歴史が示している。
漁をやめなかったこと、 干潟を残そうとしたこと、 春になると手に取ってきたこと。
それらの積み重ねが、アサリという存在を現在につないでいる。
未来を約束することはできない。 それでも、干潟とともに生きようとする限り、アサリはその場に現れ続ける。
🌙 詩的一行
掘られ、休まれ、また砂に戻る。
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