🍄あとがき ― 森の中の声を聴くために

恐れを抱く心のまま、生きていく。


きのこは、森の言葉だ。
静かな声で、ゆっくりと話す。
人がそれを「毒」と呼ぶのは、
まだその意味をすべて理解していないからだ。

毒は、森の警告であり、祈りであり、記憶。
触れてはいけないというのは、拒絶ではない。
「まだ、あなたはその深さを知らない」という優しさでもある。


森を歩くとき、
そこにいる生きもののすべてが、
何かを教えようとしている。
色、匂い、形、沈黙――。
それらを見分けることが、
人が自然と生きるための“言語”だ。

毒きのこを描くということは、
恐れを描くこと。
けれど恐れは、同時に「生きている」という証でもある。
安全だけを望む世界では、
命の呼吸は浅くなっていく。


このシリーズを通して、
あなたに伝えたかったのは、
「毒の向こうにも、美しさがある」ということ。

それは自然だけでなく、
人の心にも言える。
恐れ、怒り、孤独――それらもまた、
世界の美しさの一部だ。
森は、それを静かに教えてくれる。


そして、もしあなたが森に入ることがあったら、
一度だけ、立ち止まってみてほしい。
足もとに、小さな傘を広げたきのこがある。
それが毒であっても、美しくても、
どうか、見て、感じて、覚えていてほしい。

それだけで十分だ。
森はそれを喜ぶ。


✨詩的一行

毒を知るとは、世界を深く愛すること

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