一杯のコーヒーの値段は、
店に並んだ瞬間だけで決まっているわけではない。
その奥には、
豆を育てる時間、土地、労働、生活がある。
だが現在の仕組みでは、
価格と生活が切り離されたまま取引されることが多い。
フェアトレードは、
その切断をつなぎ直そうとする試みだ。
☕ 目次
🌍 1. コーヒーの価格はどう決まるのか
コーヒーは、世界規模で取引される商品だ。
多くの場合、その価格は国際相場によって決まる。
この相場は、
天候、投機、為替、在庫量などに左右される。
だが、生産者が暮らしていけるかどうかは、
価格決定の基準には含まれていない。
価格は下がっても、
木の手入れや収穫の手間は変わらない。
コーヒーは、待ってくれない作物だからだ。
💰 2. 数字で見る「安さ」の構造
ここで、ひとつの概算モデルを見てみる。
- 例:一般的な流通構造(概算)
- ・日本での販売価格:1杯 約400〜600円
- ・生豆1kgの国際相場:約200〜300円相当
- ・生産者に届く金額:1kgあたり 約50〜100円
1杯の価格だけを見ると、
安すぎるとは感じないかもしれない。
だが、生産者側に届く金額は、
生活費・教育費・農園維持をまかなうには、
きわめて厳しい水準になる。
問題は、高いか安いかではない。
生活が成立する価格かどうかだ。
🤝 3. フェアトレードという設計
フェアトレードは、
慈善ではなく、取引の設計を変える考え方だ。
最低価格の保証、
長期的な契約、
地域へのプレミアム。
これらによって、
価格の変動に生活が振り回されないようにする。
- フェアトレード価格の考え方(概算)
- ・生豆1kgあたり:300〜400円以上を保証
- ・加えて地域投資用のプレミアム
- ・目的:生活・教育・農園維持が成り立つ水準
安定した収入があれば、
生産者は木を長く育て、
土壌を守る選択ができる。
フェアトレードは、
品質を守るための前提条件でもある。
⚖️ 4. 選ぶことで変わる関係
フェアトレードは万能ではない。
価格はやや上がることもある。
だが、
「どこから来たか」を知ることで、
飲み手と作り手の関係は変わる。
選ぶという行為は、
小さくても、確かな意思表示だ。
一杯のコーヒーに、
誰かの生活が続く条件を含めるかどうか。
それを決めているのは、
市場だけではない。
☕ 詩的一行
値段の向こうにある暮らしを、切り捨てない。
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