見えるか、見えないか。それがすべて。
分類:文化・行動・観察
対象種例:マツタケ、シイタケ、クサウラベニタケ、ツキヨタケ など
分布:日本各地の里山・山地林
関連分野:民俗行事、生態観察、安全教育
主要モチーフ:選別・注意・経験・観察眼
扱い:きのこ狩り文化・命の学び・自然の知
秋の朝、
籠を持った人々が森へ入っていく。
足元の落ち葉が湿り、
空気の中に、きのこの匂いが漂う。
だが、その森には“見える人”と“見えない人”がいる。
同じ地面を見ていても、
命の線を見抜ける者と、見抜けない者がいるのだ。
🌲 経験という武器
ベテランのきのこ狩りは、
形ではなく「雰囲気」で見分ける。
色、匂い、そして生えている“空気”。
森全体を読むようにして、
毒と食を見分ける。
それは学問ではなく、記憶の積み重ね。
何度も森に入り、
間違え、覚え、祈るようにして身につけた“眼”。
🩸 命を分ける一瞬
素人は、その一瞬で命を落とす。
ドクツルタケをシロタマゴダケと思い込み、
ツキヨタケをムキタケと間違える。
違いは、わずかに傘の質感や柄の根の膨らみ。
けれどその“わずか”が、生死を分ける。
森は、観察を怠る者に甘くない。
自然の中では、見えないということが罪になる。
🌕 見るという祈り
きのこ狩りとは、
“拾うこと”ではなく“見ること”。
森の声を聞き取り、
地面の呼吸を感じる。
その行為そのものが祈りであり、
森と人が再び対話するための儀式。
見るとは、生きるということ。
森を見ているとき、
森もまた、こちらを見ている。
✨詩的一行
命を拾う手よりも、
命を見抜く眼を持て。

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