🍄きのこ12:シロタマゴテングタケ ― 神聖なる毒

白は、すべてを拒み、すべてを許す。


分類:担子菌類 ハラタケ目 テングタケ科
学名Amanita verna
分布:日本各地(落葉広葉樹林に多い)
発生時期:春〜秋
大きさ:傘径5〜10cm前後
毒性:猛毒(肝臓・腎臓障害・致死性)
主な毒成分:アマニチン、ファロイジン
食用/毒性:毒(致死性・極めて危険)


森の朝、霧の中に立つ白い影。
それは花ではなく、
シロタマゴテングタケの傘。

陽の光を受けても眩しく、
影に入ってもなお白く見える。
その白さは、
「生」と「死」のあいだにある色だ。


🌫 白という警告

白は清浄を意味する――だが、森では違う。
森の白は“拒絶”の色。
触れるな、近づくな、食べるな。

シロタマゴテングタケは、
ベニテングタケのように目立たない。
だがその沈黙は、
ベニテングタケの赤よりも強い。

それは森の“最終警告”。
自然が人に向けて立てる最後の壁だ。


🩸 神聖なる毒

このきのこの毒は、
肝臓や腎臓を静かに壊していく。
一度体に入れば、
助からないことも多い。

だがその作用は、異様なほど“秩序立っている”。
まるで森が、
体内の時間を正確に計りながら
死を進めていくかのようだ。

その精密さこそ、
神聖と呼ぶべき恐ろしさ。


🌕 神と毒

古代の信仰では、
この白いきのこは“森の神の姿”とされた。
誰も手を触れず、
その周りだけを静かに避けて通った。

毒とは、
人が神に近づこうとしたときに現れる“境界”。
そしてこの白は、
その境界そのものの象徴なのだ。


✨詩的一行

白は、森の祈りの形。
命を拒むことで、世界を保つ。

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