ヒツジは、失敗した家畜ではない。
だが、どこでも成立する家畜でもなかった。
世界では重要な家畜であり続けた一方で、
日本では主役になれなかった。
それは偶然ではなく、条件の不一致によるものだ。
ヒツジの歩みを整理すると、
「なぜ限界があったのか」が、はっきり見えてくる。
🐑 目次
📐 1. 環境条件という限界
ヒツジは、
乾燥し、風通しがよく、
広い草地がある環境を前提に成立してきた。
日本は、
高温多湿、雨量が多く、
寄生虫や皮膚病が発生しやすい。
この差は、
技術で完全に埋められるものではなかった。
ヒツジは、
環境の影響を強く受ける家畜だった。
🌾 2. 農業体系との不一致
日本の農業は、
水田を中心に発展してきた。
ヒツジは、
放牧地を必要とし、
土地を広く使う。
この点で、
稲作中心の土地利用と、
根本的に噛み合わなかった。
副産物利用にも限界があり、
豚のように残飯で育つわけでもない。
ヒツジは、
農業体系の中で、
居場所を確保しにくい家畜だった。
🧍 3. 管理コストと人手
ヒツジは、
放っておいて増える家畜ではない。
被毛管理、
蹄の手入れ、
寄生虫対策。
これらは、
継続的な観察と手間を必要とする。
少人数・高齢化が進む農村では、
この管理負担は重かった。
ヒツジは、
人の余力がある前提で成立する家畜だった。
⚖️ 4. 他家畜との比較
牛は、
乳・肉・労働力と、
複数の役割を持てた。
豚は、
増殖が早く、
飼料効率が高い。
鶏は、
少ない空間で、
卵と肉を安定して供給できる。
ヒツジは、
これらと比べると、
決定的な強みを一つに絞りきれなかった。
だからこそ、
選ばれ続ける家畜にはなれなかった。
🌙 詩的一行
ヒツジは、条件がそろった場所でだけ、静かに成立する家畜だった。
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