メリノ種は、ヒツジの中でも特別な位置にいる。
それは、肉でも、強さでもなく、毛そのもののために形づくられてきた品種だからだ。
細く、柔らかく、密度の高い羊毛。
その価値は、世界中の衣服文化と結びつき、
ヒツジという家畜の歴史を大きく変えてきた。
メリノは、自然の中で生まれた姿ではない。
人が「毛」を基準に選び続けた結果としてのヒツジである。
🐑 基礎情報
- 分類:哺乳類/偶蹄目(鯨偶蹄目)/ウシ科/ヤギ亜科/ヒツジ属
- 品種名:メリノ種
- 学名:Ovis aries(家畜ヒツジ)
- 原産:スペイン(後にオーストラリアなどで改良)
- 用途:毛用(羊毛)
- 体格:中型
- 特徴:非常に細い羊毛、高い毛量
- 毛:極細羊毛(メリノウール)
- 日本での位置づけ:主に羊毛史・教材的存在
🐑 目次
🧶 1. 羊毛を目的とした品種
メリノ種は、羊毛の質を最優先に改良されてきた。
体格や肉量は二の次で、
いかに細く、均一で、量のある毛を生やすかが基準だった。
その結果、メリノは
他品種と比べても被毛の密度が高く、
刈り取られる羊毛量が多い。
これは生存能力の向上ではなく、
明確に「利用価値」を高める方向への変化だ。
🪡 2. メリノウールの性質
メリノウールは、羊毛の中でも特に細い。
そのため、肌触りが良く、保温性にも優れる。
- 繊維が細く、チクチクしにくい
- 吸湿性と放湿性のバランスが良い
- 軽く、体温調節に向く
一方で、被毛が密な分、
暑さや湿気には弱く、管理が欠かせない。
メリノの価値は、
常に人の手入れとセットで成立している。
🌍 3. 世界に広がったヒツジ
メリノは、長くスペイン王権によって独占されていた。
その羊毛は、国家資源と見なされていたからだ。
やがてメリノは各地に広がり、
特にオーストラリアで大規模に改良・飼育されるようになる。
乾燥した気候と広い土地は、
メリノの羊毛生産と相性が良かった。
こうしてメリノは、
世界の羊毛経済を支える品種になった。
🇯🇵 4. 日本とメリノ
日本でも、かつて羊毛確保を目的にメリノが導入された。
だが、高温多湿な気候は、メリノにとって厳しかった。
現在、日本でメリノを大規模に飼育する例は少ない。
主に教材的・研究的な位置づけで知られる。
メリノは、日本の風土には合わなかった。
だがその存在は、
ヒツジがどこまで人の要求に応えさせられてきたかを教えてくれる。
🌙 詩的一行
メリノは、毛の価値が生き方を決めたヒツジだった。
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