カワセミの繁殖は、
目立たない場所で、静かに始まる。
枝の上ではなく、
水辺の土の崖に、嘴で穴を掘る。
この章では、
カワセミがどのように繁殖場所を選び、
巣をつくり、子を育てていくのかを整理する。
🟦 目次
🪵 1. 巣穴という選択 ― なぜ崖なのか
カワセミは、木の枝に巣を作らない。
繁殖期になると、
水辺の土の崖を選ぶ。
この崖は、
自然河川の浸食によってできたものや、
人工的な土手であることもある。
- 条件:崩れにくい土質
- 位置:水面から近い
- 利点:外敵から見えにくい
崖に穴を掘ることで、
地上の捕食者や、
空からの視線を避けることができる。
巣穴は、
カワセミにとって最も安全性の高い繁殖場所だ。
🕳️ 2. 巣穴掘り ― 嘴で削る作業
巣穴は、
主に嘴と脚を使って掘られる。
作業は数日から一週間以上かかり、
つがいで交代しながら進められることが多い。
- 深さ:およそ50〜100cm
- 形:奥で広がる横穴
- 床:特別な巣材は敷かない
巣穴の奥は、
外から光が入らず、
温度と湿度が安定している。
この環境が、
卵と雛を守る役割を果たす。
🥚 3. 産卵と抱卵 ― 巣の中で進む時間
産卵は、
数日に分けて行われる。
- 卵数:5〜7個前後
- 抱卵:雌雄で分担
- 期間:約19〜21日
巣穴の中では、
外の状況はほとんど分からない。
親鳥は、
出入りの回数を抑えながら、
卵を温め続ける。
抱卵期は、
繁殖の中でも、
最も動きが少ない時期だ。
🐣 4. 育雛 ― 巣穴の中の子育て
孵化した雛は、
しばらく巣穴の奥で育つ。
親鳥は、
魚をくわえて巣穴に運び、
雛に与える。
- 給餌:小魚を丸ごと
- 期間:約3〜4週間
- 成長:急速
巣穴の中では、
糞がたまりやすいが、
親鳥が定期的に外へ運び出す。
巣立ちのころ、
雛は巣穴の入口に顔を出し、
外の世界を知り始める。
🪵 詩的一行
カワセミは、土の中に、次の世代の居場所を掘る。
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