🐌 カタツムリ6:食性 ― 植物・菌・石灰質 ―

カタツムリシリーズ

カタツムリは、狩らない。
追いかけない。
目の前にあるものを、少しずつ削り取って生きている。

その食事は派手ではない。
だが、選び方と食べ方には、
殻を背負って生きるための理由がはっきりと表れている。

植物、菌、朽ちかけた有機物、そして石灰質。
カタツムリの食性は、
「食べられるもの」ではなく、生き続けられるもので組み立てられている。

🐌 目次

🌿 1. 基本の食べ物 ― 植物を削る

多くのカタツムリは、植物質を主な食料としている。
生きた葉だけでなく、柔らかくなった部分や表皮も対象だ。

  • 対象:葉・芽・柔らかい茎
  • 傾向:硬い葉より、薄く水分を含む部位
  • 行動:夜間や雨天時に摂食

歯で噛み切るのではなく、
表面を少しずつ削り取る。

そのため、植物への被害は広がりにくいが、
同じ場所に繰り返し痕が残る。

🍄 2. 菌と腐植 ― 目立たない栄養源

カタツムリの食性は、植物だけでは完結しない。
落ち葉に生える菌類や、腐りかけた有機物も重要な栄養源だ。

  • 菌類:カビ・キノコの菌糸
  • 腐植:分解途中の植物片
  • 利点:柔らかく削りやすい

これらは、見た目には気づかれにくい。
だが、湿った環境では安定して存在する。

カタツムリは、
新鮮さより、確実さを選ぶ採食者だ。

🦷 3. 食べ方 ― 歯舌で削り取る

食べ物を処理する中心は、歯舌である。
無数の微細な歯が並び、ヤスリのように機能する。

  • 歯の数:数千〜数万
  • 動き:前後にこすり取る
  • 特徴:摩耗しても順次補充される

この構造により、
柔らかい植物も、菌の膜も、石灰質の表面も削れる。

「噛む」というより、
少しずつ削って取り込む食べ方だ。

🪨 4. 石灰質を食べる理由 ― 殻のための摂取

カタツムリは、栄養のためだけに食べているわけではない。
殻を成長・修復するために、カルシウムを必要とする。

  • 摂取対象:石灰岩、コンクリート、卵殻
  • 目的:殻の形成と補強
  • 不足時:殻が薄く、壊れやすくなる

人家周辺で、
コンクリート壁を舐める姿が見られるのは、このためだ。

食性は、単なる嗜好ではない。
体の構造と直接つながった必然なのである。

🌙 詩的一行

カタツムリは、殻を支えるものだけを、静かに食べ続けている。

🐌→ 次の記事へ(カタツムリ7:繁殖)
🐌← 前の記事へ(カタツムリ5:生活史)
🐌→ カタツムリシリーズ一覧へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました