カタツムリは、狩らない。
追いかけない。
目の前にあるものを、少しずつ削り取って生きている。
その食事は派手ではない。
だが、選び方と食べ方には、
殻を背負って生きるための理由がはっきりと表れている。
植物、菌、朽ちかけた有機物、そして石灰質。
カタツムリの食性は、
「食べられるもの」ではなく、生き続けられるもので組み立てられている。
🐌 目次
🌿 1. 基本の食べ物 ― 植物を削る
多くのカタツムリは、植物質を主な食料としている。
生きた葉だけでなく、柔らかくなった部分や表皮も対象だ。
- 対象:葉・芽・柔らかい茎
- 傾向:硬い葉より、薄く水分を含む部位
- 行動:夜間や雨天時に摂食
歯で噛み切るのではなく、
表面を少しずつ削り取る。
そのため、植物への被害は広がりにくいが、
同じ場所に繰り返し痕が残る。
🍄 2. 菌と腐植 ― 目立たない栄養源
カタツムリの食性は、植物だけでは完結しない。
落ち葉に生える菌類や、腐りかけた有機物も重要な栄養源だ。
- 菌類:カビ・キノコの菌糸
- 腐植:分解途中の植物片
- 利点:柔らかく削りやすい
これらは、見た目には気づかれにくい。
だが、湿った環境では安定して存在する。
カタツムリは、
新鮮さより、確実さを選ぶ採食者だ。
🦷 3. 食べ方 ― 歯舌で削り取る
食べ物を処理する中心は、歯舌である。
無数の微細な歯が並び、ヤスリのように機能する。
- 歯の数:数千〜数万
- 動き:前後にこすり取る
- 特徴:摩耗しても順次補充される
この構造により、
柔らかい植物も、菌の膜も、石灰質の表面も削れる。
「噛む」というより、
少しずつ削って取り込む食べ方だ。
🪨 4. 石灰質を食べる理由 ― 殻のための摂取
カタツムリは、栄養のためだけに食べているわけではない。
殻を成長・修復するために、カルシウムを必要とする。
- 摂取対象:石灰岩、コンクリート、卵殻
- 目的:殻の形成と補強
- 不足時:殻が薄く、壊れやすくなる
人家周辺で、
コンクリート壁を舐める姿が見られるのは、このためだ。
食性は、単なる嗜好ではない。
体の構造と直接つながった必然なのである。
🌙 詩的一行
カタツムリは、殻を支えるものだけを、静かに食べ続けている。
コメント