殻があり、柔らかい体があり、ゆっくりと進む。
カタツムリの姿は単純に見えるが、その内部には、
陸で生きるために積み重ねられた工夫が詰まっている。
骨はない。
脚もない。
それでも、移動し、食べ、感じ、身を守る。
カタツムリの体は、
「弱いまま成立させる」ために組み上げられた構造だ。
🐌 目次
🐚 1. 殻 ― 背負われた外骨格
カタツムリの殻は、体の一部である。
脱げるものでも、取り替えられるものでもない。
- 主成分:炭酸カルシウム
- 形成:外套膜から分泌され、成長とともに拡張
- 役割:防御・保湿・内臓の保護
殻の内部には、内臓が収められている。
危険や乾燥を感じると、体を引き込み、殻口を粘液や膜で閉じる。
殻は盾であると同時に、制約でもある。
重さが増すほど、移動は遅くなり、隠れられる場所も限られていく。
👣 2. 足 ― 粘液で進む筋肉の板
カタツムリの「足」は、腹側に広がる一枚の筋肉だ。
波のような収縮を連続させることで、前へ進む。
- 構造:幅広い筋肉の塊
- 移動:筋肉波+粘液
- 特徴:垂直面や逆さでも移動可能
分泌される粘液は、潤滑と接着を同時に担う。
これにより、凹凸のある地面や、濡れた壁面も移動できる。
ただし粘液の生成には水分が必要だ。
乾燥した環境では、移動そのものが大きな負担になる。
👁️ 3. 触角と感覚 ― 見えない世界の測り方
多くのカタツムリは、二対四本の触角を持つ。
上の長い触角の先には目があり、下の短い触角は嗅覚と触覚を担う。
- 長い触角:視覚(明暗・輪郭)
- 短い触角:嗅覚・触覚
- 再生:損傷しても再生する能力
視力は高くない。
だが、光の強弱や動く影は感知できる。
カタツムリの感覚は、遠くを見るためではなく、
近づく危険と、進める道を見分けるために使われている。
🦷 4. 歯舌 ― 削り取って食べる口
カタツムリの口には、歯舌(しぜつ)と呼ばれる器官がある。
これは無数の微細な歯が並んだ、ヤスリ状の構造だ。
- 歯舌:数千〜数万の歯
- 用途:植物・菌・藻類を削り取る
- 更新:摩耗すると新しい歯が補充される
噛み切るのではなく、削る。
この食べ方は、柔らかい植物や菌を主食とする生活に適している。
同時に、殻を作るためのカルシウムを得るため、
石灰質を含むものを舐め取る行動も見られる。
🌙 詩的一行
カタツムリの体は、急がず、壊れずに生きるための形をしている。
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