クワガタムシは、昔からそこにいたわけではない。
同時に、突然現れた存在でもない。
森があり、人が関わり、
そのあいだに条件がそろったとき、
クワガタムシは、静かに姿を保ってきた。
この最終話では、
未来を語りすぎず、希望を言い切らず、
これからも続いていく関係として、クワガタムシを見直す。
🪲 目次
🌲 1. 森が変わり続けるという前提
森は、固定された風景ではない。
成長し、倒れ、更新される。
クワガタムシが必要とするのは、
「豊かな原生林」だけではなかった。
倒木があり、
朽木が残り、
光と影が混ざる場所。
それは、変わり続ける森の途中に生まれる。
クワガタムシは、 完成した自然より、途中の環境と結びついてきた。
🏙️ 2. 人の関わり方は一つではない
人は、森から離れ、また別の形で近づいている。
完全に管理することも、
完全に放置することも、選択肢のひとつだ。
だが、そのどちらかだけが正解ではない。
里山のように、
使いながら残す関わり方もあった。
飼育という形で、 個体と向き合う距離も生まれた。
クワガタムシは、 人の関わり方の違いを、結果として映す存在だ。
🧭 3. 守るでも、使うでもなく
「守るべき自然」という言葉は、
ときに距離を遠ざける。
「使う自然」という考えは、
ときに消費へ傾く。
クワガタムシとの関係は、
その中間にある。
触れられるが、
制御しきれない。
知ることはできるが、
所有はできない。
クワガタムシは、 人が自然と折り合いをつける練習台のような存在でもある。
🔁 4. 距離を測り続ける存在
これから先、 森の形も、人の暮らしも変わり続ける。
クワガタムシが減る場所もあれば、 残る場所もあるだろう。
大切なのは、 一度決めた答えを固定しないことだ。
近づきすぎていないか。
遠ざけすぎていないか。
クワガタムシは、 その距離を問い返してくる存在として、 これからも現れ続ける。
🌙 詩的一行
クワガタムシは、森と人のあいだで、ちょうどいい距離を探し続けている。
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